「黄信号なんかで止まるなよ!」「手を上げてるのに無視すんな!」 タクシー運転手を襲う“カスハラ”の実態…「“駐停車禁止エリア”以外にもお客さんを乗せられない場合があるんです」
客が立っている場所
タクシーは公共交通機関であるため、道路運送法と運輸規則により、客への乗車拒否は禁じられている。もしタクシーが、手を上げている客を理由もなく素通りした場合、法律違反になるのだ。
だが、ある現役のタクシードライバーによると、タクシーが止まらないことは実際にあるそうだ。ただ、そのほとんどが「乗客側」に原因があるという。
「最も考えられるのは、客が手を上げてタクシーを止めようとしている場所が『駐停車禁止エリア』の可能性があるということです」
タクシーを捕まえようとする際、あまり意識されないのが客の「立ち位置」。道交法では、緊急車両出入口はもちろん、交差点内や横断歩道上から5メートル以内、バス停から10メートル以内は駐停車禁止になっており、たとえタクシーの乗客であっても、当該エリアでは乗り降りが許されないのだ。
「皮肉にも、乗客の多くは柵やガードレールのない交差点付近でタクシーを拾おうとするんですよね。なので僕はいつも少し進んだところで止まるようにしているんですが、こうした法律を知らないお客さんからは『無視して行こうとしただろ』と勘違いされ、怒鳴られたこともあります」
営業区域
タクシーが乗車拒否する理由は他にもある。それは、「営業区域外」の場合だ。
「営業区域」とは、タクシー会社や営業所の所在地にもとづいて、国土交通省が指定した営業許可区域のこと。タクシーは日本全国、客が手を上げていればどこでも自由に営業してもいいというわけではない。企業ごと(個人タクシーの場合は事業者の住所を基準)に営業していい区域が決められており、営業エリアでの乗車または降車でないと、客を乗せてはいけないことになっているのだ。
「つまり、自分の営業区域で乗せたお客さんを営業区域外まで乗せることはできるんですが、そのお客さんを降ろした後、別のお客さんを乗せる時はその人が営業区域内に行く人じゃないといけないんです」
「地元(地方)から東京に向かうお客さんを乗せたことがある。都会のど真ん中でお客さんを降ろした直後、別の人が乗ろうとされたので、行き先を聞いたら、わずかひと駅先。営業区域の関係上乗せらない旨を話したところ、急いでいたようで不機嫌に。よく聞こえませんでしたが、何か捨て台詞を吐かれた後、思い切りドアを閉められました」
こうして営業区域外で客を降ろした後、営業区域へと戻る際は「回送」にして戻る。ちなみにこの「回送」、タクシー業界では「ワカメ」というとのこと。
「『回送(かいそう)』と『海藻(かいそう)』をかけた、ただのダジャレです。職業ドライバーの現場には本当にこういう業界用語多いですよね(笑)」
[2/4ページ]



