とにかく議論が進まない女性皇族の“結婚後の処遇”…キーマンは「高市首相の後見人」で、「閣外」にいる大物議員

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 進みそうで中々進まない、皇室の先細り解消策論議。神話の時代を除いても、少なくとも1500年以上続き「世界最古の王室」と呼ばれる皇室の存続を脅かし続けている問題のキーマンが、皇族を肉親に持つ、麻生太郎自民党副総裁(85)だ。尊王攘夷派の子孫という出自もあって「皇室存続の危機などどこ吹く風で政争にあけくれる多くの国会議員とは異なり、深刻な事態を身近に感じている、数少ない政治家のはず」(宮内庁関係者)。衆院を完全に自民が牛耳る今の特別国会中、麻生氏は議論をどうリードするのか……。

身近な問題としても認識

 麻生氏は1940年に福岡県で生まれ、寛仁親王妃信子さまの実の兄だ。明治天皇を中心とする王政(天皇親政)復古を掲げた明治維新を、西郷隆盛や木戸孝允とともに成し遂げた「維新3傑」の1人で、尊王攘夷派のリーダーだった大久保利通のひ孫に当たり、吉田茂元首相の孫でもある。

 ちなみに、宮内庁で上皇后美智子さまの最側近・上皇女官長を務める伊東典子氏も大久保利通のひ孫だ。学習院大学政治経済学部出身で上皇陛下の後輩でもある麻生氏は、2008年9月から翌09年9月までの1年間、第92代内閣総理大臣を務めた。その後は政権の指南役として、安倍晋三政権では安倍首相と盟友関係を築いて政権を支え、岸田文雄政権下でも岸田氏と茂木敏充幹事長(当時)とともに三頭政治の体制を確立した。

 また、派閥の裏金事件後も、自民党内で唯一となった派閥を維持。昨秋の総裁選では決選投票で、麻生派議員に高市早苗氏支持の号令を出し、国会議員票で小泉進次郎氏を上回る流れを作ったことによって「高市首相(総裁)誕生最大の功労者」と言われる。首相の後ろ盾となったことで、かつて田中角栄元首相がほしいままにしたキングメーカーの称号を手にしており、現在、政界でも重鎮の立場にある。

 その麻生氏が2023年から会長を務めるのが、党総裁直属の諮問機関として党内に設置された、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」なのだ。2016年8月に公表された「身体の衰えを考慮する時(中略)全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなる」との上皇陛下のビデオメッセージを受けて翌17年6月に成立し、200年ぶりの生前退位を可能にした天皇の退位等に関する皇室典範特例法の附帯決議では、皇室存続の危機に関する国会議論が求められた。

先延ばしが繰り返されて

 このため、新型コロナウイルス感染症の騒動が沈静化した2023年10月に衆院議長に就任した額賀福志郎氏を旗振り役として、与野党協議が始動した。

 だが、一昨年の通常国会に続き、昨年の通常国会でも「立法府の総意」としてのとりまとめ案を示すことができず、結論は今年に先延ばしされたままとなっている。新聞社がマスメディアとしての主張を行う社説で、読売新聞は昨年5月15日付朝刊に「象徴天皇制 皇統の存続最優先に考えたい」との見出しで記事を掲載。本文で「皇族数の減少は深刻」「現実的な対策を講じなければならない」とした上で「女性皇族が結婚後も皇室にとどまることができるよう、早急に皇室典範を改正し、女性宮家の創設を可能にすべき」と提言した。

 マスコミ関係者は「オワコンとも言われて久しい新聞ですが、読売さんは昨年の発行部数でも500万部を維持しています。実売数を7割と見積もっても350万部という数字は、単純比較はできませんが漫画大国・日本のトップランナーと言われる週刊少年ジャンプの110万部を凌駕しており、その影響力はまだまだ無視できません」と語る。

 また、ライバル関係にある読売新聞と朝日新聞の読者層は保守とリベラルにはっきりと分かれる傾向にあるとされており、同関係者は「それだけに読売新聞の主張に驚いた保守層は多かったようです。反発の声がある一方で『そこまで危機的なのか』と認識を改める向きも少なくなかったと聞きました」と話す。女性天皇賛成が69%に上った昨年の読売新聞の世論調査でも、将来の皇位継承に68%が「不安」と回答。議論の結論は緊急性を増していることは間違いない。

 自民党では昨年5月21日、懇談会の会合を開いて党としての対応を麻生氏に一任。昨秋は野党第1党として、女性皇族が婚姻後も皇室にとどまる案の議論先行を主張する立憲民主党の野田佳彦代表に対し、戦後に皇籍離脱(臣籍降下)した旧宮家の出身者を養子として皇族にする案を柱に、女性皇族が婚姻後、皇室にとどまった場合も配偶者や子供は皇族とはしない案を突き付けたことで、現在の膠着状態が生じている経緯がある。

 神社本庁のロビー団体である神道政治連盟国会議員懇談会で、名誉顧問も務めた麻生氏は、神事や祭祀の女人禁制を基本とする神道に沿って、男系男児の皇位継承維持を推進。一方で実妹は、皇室の伝統から例外的に女性当主として昨秋、新たな宮家を創設した。夫の薨去に伴う皇族妃による女性の宮家継承とは全く異なるスタイルで、姪の彬子さまも、祖母から三笠宮家を継いだ。宮内庁OBは「新しい皇室の姿を麻生氏も否応なしに受け入れざるを得ない状況で、しかも既に受け入れ始めているようなのです」と語る。

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