「貧乏ゆすり」はした方がいい? 推定患者最大で500万人超の「股関節痛」 日常生活でやってはいけないコトとは
転ばぬ先のつえ
(9)や(10)にまで至ると、残念ながら保存療法(手術以外の方法)だけではなかなか良くならず、手術の検討が必要となります。ですから、痛みが少しでも軽いうちに、冒頭で紹介した3Dジグリングを始めてほしいのです。さらに言うなら、痛みがなくても、3Dジグリングを始めてほしいと思います。
なぜなら、生まれつきあるいは成長の過程で股関節痛が生じやすい骨の構造をしている人が日本人には多いからです。変形性股関節症患者の9割がそれに該当するという報告もあります。
どういう構造かというと、骨盤のお椀(寛骨臼)の凹みが浅いのです。すると、お椀と接する大腿骨頭の面積が狭くなり、その特定の部分に体重の重みが集中するため、軟骨がすり減りやすくなる。若いときはそれでも問題がないのですが、年齢を重ねるにつれてすり減りが進み、違和感や痛みといった症状が出てきます。
生まれつきのお椀の凹みの浅さを、医学的には寛骨臼形成不全と言います。レントゲン検査で診断できますが、股関節に痛みがない段階で整形外科を受診し検査を受けようとは思いませんよね。現在は異常なしでも、今後はどうなるか分からない……。まさに転ばぬ先のつえとして、この体操をお勧めするゆえんです。
三つの利点
3Dジグリングには、ほかの体操やストレッチにはない利点があります。それは、「4大筋膜ラインを同時にほぐす」「股関節周りの22個の筋肉群をほぐし、強化する」「関節の滑りを良くし、軟骨に栄養を補給する」という三つを一度に成し遂げられるということです。
股関節痛がある人、特に寛骨臼形成不全による変形性股関節症の人は、骨盤が前傾しています。お椀の凹みが浅いと大腿骨頭のはまりが悪くてグラグラするため、骨盤を前方に倒し、大腿骨頭をより多く覆おうとするからです。
これが長く続くと、股関節周囲の筋肉群が屈曲し、縮こまってしまいます。すると股関節を動かしづらくなり、股関節を支える筋肉は衰え、股関節へかかるダメージが増してしまうのです。
つまり股関節痛を改善するには、股関節周囲の筋肉群の屈曲を取ることが不可欠。ところが、股関節周囲の筋肉群は22個もある上、全身の筋肉とつながっているので、ストレッチを一つや二つ行うだけではなかなか屈曲は取れません。効率よくほぐすには、全身の筋肉とつながる筋膜ライン(結合組織のネットワーク)をほぐす必要があります。
筋膜ラインには大きく分けて、体の前面、背面、側面をそれぞれ覆うもの、そして体に巻き付くように覆うものの四つが存在します。これらの四大筋膜ラインを同時にほぐすには、360度すべての方向によどみなく連続的に動かす回転運動が最適です。まさに、股関節を360度回す3Dジグリングです。股関節や膝を曲げるスクワットに近い姿勢を取るので、股関節の筋肉も鍛えられます。
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