故人はなぜ彼の参列を望んだ…? 推し活仲間のオンライン葬儀で20代女性が見た異様な光景【川奈まり子の百物語】

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【前後編の後編/前編を読む】恒例行事のコミケにさえ行けない…「実家」に束縛された推し活仲間が苦しみの末に選んだ「最悪の手段」

 これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が世にも不思議な一話をルポルタージュ。

 同じ会社に籍を置いていた佳苗さん(仮名)とA子は、同じ声優を推す同志で、親友と呼べる関係を築いていた。だが、コロナ禍によって、A子は北陸の実家に帰りリモートワークをするようになる。そこには、娘を二度と東京にやりたくないというA子の父の思惑もあった。職場復帰はもとより、2人で毎回行っていたコミケへの誘いも断られ、佳苗さんはA子に裏切られたような気持になるように……。そんな折にA子の妹から連絡が入る。A子が自宅で首吊り自殺をしたというのだ。故人の遺志で、佳苗さんと、2人の指導係であった上司のB氏を葬儀に招きたいという。A子の家族は、佳苗さんも出席できるようにと、オンライン葬儀をとりきめたがーー。

 ***

 訃報の翌週、7月初旬にオンライン葬儀が執り行われた。

 事前に動画配信サイトのURLと開催日時がメールで送られてきて、その文中で式の終了後に動画が削除される旨なども説明された。

 開始時刻は15時ちょうど。30分前から待機画面が表示されるそうなので、佳苗さんは14時半になると自宅でパソコンを開いて、貰ったURLにアクセスしてみた。

 A子の葬儀のオンライン動画のサムネイルはアニメキャラクターのイラストだった。

 待機画面にも同じイラストが表示され、A子が推していた声優が歌うアニメソングが流れた。

 一瞬、違うチャンネルに繋げてしまったかと思ったが、URLに誤りはなく、動画のタイトルを見ても、ここで間違いなかった。

 《故〇〇A子様 葬儀式場》

 佳苗さんの胸に、A子と一緒に推し活にいそしんだ頃の楽しい記憶が去来した。

 溢れる涙をティッシュで拭いながら待っていると、やがて15時になり、画面が葬儀告別式の会場に切り替わった。

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