「摂氏120度のサウナに閉じ込められる」極限状態からの脱出劇を描いた映画に注目が  悲劇を繰り返さないために何が必要なのか

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どう対処すべきか

 では、交通事故の際に車から脱出するための窓ガラス破壊用ハンマーを備えたらどうか。大きさにもよるが、普通であればその程度の小器具でサウナ用耐熱ガラスをたたき割れるとも限らない。映画が描いたように、サウナに外気が流入するとかえってサウナ温度が上昇してしまう可能性もある。

 そう考えると、通常のドアとは別に、人が潜れる程度の大きさを持つ非常用脱出口(ハッチ)を確保できるような設計が望ましい。あるいは、サウナの熱源自体を緊急停止できる装置をサウナ内に設置することが必要ではないだろうか。サウナの主たる熱源であるガス・電気・薪のうち、薪は追加しない限りいずれは燃え尽きるが(一酸化炭素中毒には要注意)、ガスと電気については、ガスの元栓や電気ブレーカーのような、サウナ利用者が室内から強制的に停止できる非常停止装置(キルスイッチ)を、防水・防湿・耐熱性能を備えた形で設置すること。これをぜひサウナ業者には検討してもらいたい。

 個室サウナを利用する側としても、利用する前に店側に通報装置の使い方や避難経路を確認したり、サウナ室内に多めの水や緊急時用のホイッスル(耐熱素材)を持ち込んだりするといった自衛手段を講じることが必要だろう。もちろんアルコールで酩酊した状態でのサウナ利用はご法度だ。

 それでも個室サウナを利用するのはちょっと怖い、という人にオススメするのが、自宅用のドーム型スライド式サウナだ。チクワを半分に切ったような半円形の筒の中に電気パネルヒーターが貼ってあるもので、一畳程度の大きさを確保して設置すれば、ドームの中で寝ているだけで驚くほどの汗が出る(フジカや神戸メディケアから発売中)。首を突き出すところをタオルでカバーするだけの設計なので、閉じ込められることはない。

 起きてはならない事件が起きてしまった今回の事件。若いご夫婦の尊い命が奪われたことが悔やまれてならない。犠牲者の方に謹んで哀悼の意を捧げます。

北島 純
映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク王国大使館上席戦略担当官、社会情報大学院大学広報・情報研究科特任教授等を経て、現在、社会構想大学院大学社会構想研究科教授。日本広報学会理事、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹、経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員等を兼務。専門はコンプライアンス、パブリックアフェアーズ、広報、情報戦略論。

デイリー新潮編集部

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