「摂氏120度のサウナに閉じ込められる」極限状態からの脱出劇を描いた映画に注目が  悲劇を繰り返さないために何が必要なのか

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意識障害は高体温症の典型的症状

 イアンはマイケルを呼び戻すためにドアのガラス窓を叩き割る必要があると判断し、熱いサウナストーンをタオルで包んで打ち付ける。耐熱ガラスはそう簡単には割れず、手に傷を負ってしまうが、必死に叩き続けてようやくガラスを割ることに成功する。

 小窓から入ってくる新鮮な空気を吸って一息つく3人だが、おそろしい事実に気づく。「ドアの外から流入する冷たい空気によってサウナ室内の気温が下がり、その下落分を補おうとして自動的にサウナの燃焼が盛んになってしまった」のだ。

 熱さに耐えきれなくなったレネは、ロウリュ用水桶にタオルを浸して肌を拭くが、イアンがここでも制止する。「人体は急激な体温上昇から身を守るために大量の汗を出して体温を下げようとするのに、水で肌の表面を冷やすと、防御機能が損なわれてしまい、かえってダメージを受ける」というのだ。

 八方塞がりの状況下で朦朧とするイアン。彼はその時、サウナ個室の壁に設置されている照明の存在に気づく。「そうだ、電球をソケットから外して、電気をショートさせれば、サウナ全体の電気系統が止まるかもしれない」。イアンはロウリュ用柄杓のハンドルに水で濡らしたタオルを巻いてソケットに突っ込む。ところがその瞬間、イアンは感電して重症を負ってしまう。もはや冷静な判断が出来なくなっていたのだ。意識障害は高体温症の典型的症状である。

頼りになるのは犬の嗅覚

 ここで、ロッジで飼われている犬のボーが漏電事故の異変を察知する。こういう時に頼りになるのは犬の嗅覚だ。サウナの壁越しに外の庭から吼えたてるボー。その鳴き声で爆睡していたマイケルが遂に目を覚まし、サウナの近くまでやってくる。

 ところが、その刹那、無情にも祭りの花火が打ち上がる。ボーの吠え声はかき消され、花火に興奮した犬が騒いでいるだけだとマイケルは受け止めて戻ってしまう。そこでボーは、花火打ち上げ場所にいる飼い主のウェイドの元に走り出す。吠えまくるボーにウェイドも胸騒ぎを感じてロッジに戻る。

 しかし、ウェイドを出迎えたマイケルが、「あの3人は自分が寝ている間に村祭りに出かけて楽しんでいます。自分は置いてきぼりをくらいました」と説明したため、二人はロッジに入ることなく、湖畔のチェアに寝転んで酒を飲み、大麻を吸い出すのだ。余計なことばかりするマイケル!

 照明が消えた暗闇の中、助けが来ないことを悟って絶望に打ちひしがれる3人。レナとジェナは言い争うようになり、パニックでジェナが壁の気温センサーを破壊してしまう。するとガスサウナの燃焼がみるみるうちに激しくなる。最悪の状況下でイアンはついに正気を失い、叫び声をあげながら全力でサウナに体当たりする。

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