コオロギ食ブームではバッシングも…信州“昆虫食の聖地”に残る食文化 カイコ入りポップコーン、蜂の子フィナンシェに見る「受け継がれる伝統」

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 おしゃれなショップが立ち並ぶ東京・銀座。12月、その一等地にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で開かれていたのは、「昆虫食トーク&試食の会」だった。

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 この日は、昆虫食研究の第一人者で、長野県出身の内山昭一氏が理事を務める「NPO法人昆虫食普及ネットワーク」主催のイベント。会場は老若男女の昆虫を愛する参加者たちで埋め尽くされていた。

 テーブルに並んだのは、カイコのフン茶、県産カイコ入りポップコーン、シカ肉とカイコのカレー、蜂の子のバターソテーにザザムシ、イナゴの佃煮……。

 筆者は長野県生まれで、イナゴや蜂の子は食べたことがある。だが、ザザムシやカイコは初体験。皿を前に一瞬ためらっていると、内山氏は笑顔で参加者にこう語りかけた。

「バッタは脚の太いところが一番おいしいんですよ。唐揚げにすると、味も色もエビに似ているので、エビ好きはきっと好きです(笑)」

 本当にそうなのか。とくにエビ好きでなく、バッタを唐揚げで食べた経験もないのでわからない。

 カイコのフン茶は「果たしてフンを飲む必要があるのか」と逡巡したものの、飲んでみれば「クワの葉茶」と変わらぬ味わいで、カイコの主食を思い出させられた。ポップコーンに入ったカイコそのものは揚げられており、さほど味を感じなかった。ザザムシの佃煮はアミの佃煮の味わいに似ていると言われるが、筆者にはすこし川臭いと感じられた。

 イベントでは、これら長野4大珍味と言われる虫たち(イナゴ、カイコ、蜂の子、ザザムシ)をメインにしていたが、内山氏自身の好物はセミだそう。昆虫は種類が豊富なので、1年中おいしく食べられる。「旬の虫」をたずねると……。

「今の時期……冬はカミキリムシの幼虫のゴトウムシ。春はイモムシ、夏はセミ、秋はトノサマバッタですね。今日は秋に捕まえたイナゴを佃煮にしたものですから、これもおいしいですよ!」(内田氏)

 祖母は秋になると、私を連れて田んぼへイナゴを捕まえに行った。肥料袋いっぱいのイナゴを持ち帰ると、母が熱湯に放り込み佃煮にする。イナゴの佃煮は、甘辛くておいしい。物心がついた時から食べていたので、見た目への抵抗もない。

 イナゴが平気なのだから、コオロギやバッタもイケるはず――そう思って会場に足を運んだのは、この経験があったからだ。

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