「背中が丸まっていると死亡リスクは2倍に」 対策のための食事法は? 「日本人は圧倒的にビタミンD不足」
体の「中」で何が
このように背中の丸まり、医学的に言うと脊柱後弯(せきちゅうこうわん)は、「見た目」の老化のサインであると同時に、体の「中」にも深刻な影響を及ぼします。
2004年の「アメリカ老年医学会誌」には、背中の丸まりが強い高齢者とそうでない高齢者を比較した場合、前者の死亡リスクは約1.44~2.0倍に上昇するという研究結果が報告されています。アメリカの内科学会が発行する医学誌にも、09年に同じような結果の論文が掲載されています。つまり、「背中が丸まった人は死亡リスクが最大で2倍高まる」ということになるわけです。これが、背中の丸まりが死への入り口であるゆえんです。
そもそも、背中はなぜ丸まってしまうのでしょうか。主な原因としては、骨粗鬆症によって気が付かないうちに背骨が折れてしまう圧迫骨折、通称「いつの間にか骨折」が挙げられます。その他にも、椎間板変性や体幹伸展筋の筋力低下、伸展可動域の減少などがありますが、いずれもごく大ざっぱに言えば「加齢による筋骨の衰え」です。
では、背中が丸まってしまうと体の「中」で何が起きるのでしょうか。
最も代表的な現象が、胸部が圧迫されることによる呼吸機能の低下です。実際、脊柱後弯が肺活量を低下させることなどさまざまなエビデンスが存在します。
少し動いただけで息が上がってしまう。年を重ねるとそう感じる場面も多いと思いますが、それこそ「年のせいだから」と片付けてしまいがちです。しかしそれは、背中の丸まりで胸が膨らみづらくなり、肺活量が落ちているせいである可能性も考えられるのです。
呼吸機能が低下すれば、肺炎や慢性閉塞性肺疾患になりやすくなり、また呼吸が浅いと体力も落ち、免疫力も低下するため感染症にもかかりやすい。これらの呼吸機能低下に伴うリスクが、背中の丸まりによる死亡リスク上昇の要因だと指摘されています。
どう対処すればいい?
他にも、背中が丸まるとお腹が圧迫され内圧が高まるので胃酸が逆流しやすくなり、胃食道逆流症や咽喉頭酸逆流症といった飲み込みや摂食に関連する疾患が懸念され、食道がんや誤嚥性肺炎に至る危険性もあります。食べたものが食道を通過しにくくなって栄養不足につながったり、腹部も圧迫されるため、不快感によって食欲不振に陥ったりするリスクも増します。
さらに運動器と脳は連関しているので、背中が丸まってアクティブに動けなければ脳機能の活性化も促進されず、認知機能に悪影響を及ぼしたり、姿勢異常が自律神経のバランスの乱れを招いたりする恐れもあります。もちろん、姿勢が悪くなれば転倒・骨折のリスクが高まり、その先には寝たきり、要介護が待ち受けてもいます。
こうしたさまざまな理由から「死亡リスク最大2倍」となるわけで、もはや背中の丸まりそれ自体を、命を縮める大きなファクターとして捉えるべきだといえるでしょう。
それでは、この「死亡リスクファクター」である背中の丸まりに、どう対処すればよいのでしょうか。まずは、他の疾患と同様で、「気付き」が重要です。
冒頭で触れたように、背中を見る機会は限られているので、それが丸まっていることにそもそも気が付きにくい面があります。しかし、「見えない」という点では、血圧も血糖値も同じはずですが、多くの人が血圧や血糖の値には注意を払っていると思います。そして異常があれば対処する。それと同じで、背中の丸まりに関しても早めに異常に気が付き、対策を取ることが大切になります。
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