「夜の入浴はサボってもOK」 50代から90代、各世代ごとの健康法を東洋医学のプロが伝授

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 伝統の継承と創造。どんな世界でも常に求められる命題である。医学の世界も同様だ。2000年の歴史を持つ東洋医学の知見に、最新の情報に基づきアレンジを加えた「新・東洋医学」。人生100年時代にこそ役立つ年代別健康術を、東洋医学のエキスパートが解説。【木村容子/東京女子医科大学附属東洋医学研究所教授】

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 いまの時代を象徴する“新しい言葉”のひとつに「人生100年時代」が挙げられると思います。

 しかし、実はこれ、とても“古い言葉”でもあるのです。なぜなら、「人生100年」は2000年も前から想定されていたからです。つまり、遥か昔から前提にされていた「100年生きる力」を、現代を生きる私たちは医療技術の進歩によって改めて実感しているに過ぎないとも考えられるのです。ですから、いまこそ、私が専門とする東洋医学の知恵が、健康長寿に大いに役立つ時代だと言えるでしょう。

〈東京女子医科大学附属東洋医学研究所教授の木村容子氏は、国家公務員時代に英国オックスフォード大学大学院に留学し、東洋医学の治療を体験。その後、退職して医学部に学士入学した、西洋で東洋医学に出会った医師である。

 同研究所で、20年超にわたって年間約6000人の患者の診察を続けてきた東洋医学のエキスパートである木村医師が、2000年の歴史に現代性を取り込んでアップデートした“新・東洋医学”を解説する。〉

東洋医学の神髄が描かれている「あしたのジョー」

 東洋医学の神髄を知るには、昭和の名作漫画「あしたのジョー」が参考になります。

 宿敵であるホセ・メンドーサとの死闘に敗れ、「真っ白な灰」となった矢吹丈。あまりにも有名なラストシーンですが、今回注目してほしいのは丈ではなくメンドーサのほうです。

 辛くも試合には判定勝ちしたメンドーサ。しかし、何度打たれても立ち向かってくる丈の不屈の闘志に恐れ戦(おのの)き、試合の最中から明らかにやつれた様子が浮かぶ。そして激闘後、黒かったメンドーサの髪は一気に白へと変貌……。このメンドーサの「変化」に、東洋医学の考え方が見事に表れているのです。

 東洋医学には「自然」を「大宇宙」、「身体」を「小宇宙」と捉え、小宇宙は大宇宙によって支配されているため、自然に抵抗しようとせず順応していく必要があるという思想があります。その上で、人体の健康にとっては「五臓」のバランスを保ち、さらに「気(き・エネルギー)・血(けつ・血液)・水(すい・リンパ液などの血液以外の体液)」を隈なく身体に巡らせることが重要であると考えます。

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