「映画泥棒」に「マナーCM」で15分…シネコンに行くたびに感じる“映画の本編が始まるまで長すぎる問題”には理由があった
いつまでもつづく「マナームービー」
次に多いと感じるのが、「スマホの電源を切れ」「前の座席の背を蹴るな」といった、いわゆるマナー喚起映像であろう。通称「マナームービー」と呼ばれている。
「数年前、山田洋次監督が、自作の初日舞台あいさつで、『最近の映画館は、話すなとか、前の座席を蹴るなとか、おカネを払ってきているのに、なぜ、あそこまで言われなきゃならないのか』と苦言を呈し、SNS上で賛否両論となりました。最近も、『国宝』の大ヒットで、ふだん映画館に行ったことのない層が詰めかけ、上映中にしゃべったり、ポップコーンを床にばらまいたりするマナー違反がSNS上で取り上げられていました」
このように、映画館慣れしていない観客も来るので、マナームービーは、やめるわけにいかないようだ。だが、シネコンに通う映画ファンにとっては、もう、うんざりにちがいない。そこで最近は、新作予告編とのコラボも増えた。
「新作アニメーションのキャラクターが“スマホを切ろう”とか、“上映中の会話はダメ”とか、マナー喚起をするわけですが、これで終わればよいものを、そのあと、またも、おなじ内容で“NO TALKING!”とかのマナームービーが流れるので、ここで疲れてしまいます」
これでようやく本編開始かと思いきや、次は「NO MORE映画泥棒」だ。最近は、盗撮したカメラ男と、彼を追うパトランプ男の追跡劇で、ポップコーン男とジュース男もチラリ出演している。おなじみ「法律により10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます」のナレーションが流れる。
「これは、〈「映画館に行こう!」実行委員会〉が製作した、映画盗撮防止キャンペーンのマナームービーです。2007年に映画盗撮防止法が施行されるにあたってはじまった映像で、いくつかのヴァージョンを経て、すでに18年も流れています」
このシリーズでは、初期ヴァージョンで、映画館でポップコーンを食べながら、カメラ男を発見して呆然となっている女性を、沖縄出身のモデル・女優のティアラが演じた。DA PUMPのISSAのいとこである。“映画本編よりも観る機会が多いタレント”として、話題となった。
「いまの追跡編がかなり長いので、そろそろティアラに再登場してもらいたい、なんて声もあるようです」
この「NO MORE映画泥棒」を製作している〈「映画館に行こう!」実行委員会〉とは、どういう団体なのだろうか。
「日本映画製作者連盟、外国映画輸入配給協会、モーションピクチャー・アソシエーション(国際映画著作権協会)、全国興行生活衛生同業組合連合会の4団体によって結成されています。「夫婦50割引き」キャンペーンを推進しているのも、ここです」
しかし、いま、映画館での盗撮なんて、そんなにあるのだろうか。
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