「映画泥棒」に「マナーCM」で15分…シネコンに行くたびに感じる“映画の本編が始まるまで長すぎる問題”には理由があった

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上映までの時間が……

 この年末年始、のんびり映画館で過ごそうという方も、多いだろう。だが、その際、気になるのが、本編の上映開始前に、えんえんと流される予告編やCM映像ではないだろうか。

「きちんと上映開始時間にあわせて出かけたのに、やかましい新作の予告編や、“映画泥棒”だの“前の座席の背を蹴るな”だの、同じようなマナー喚起の映像ばかりがつづき、いつまでたっても始まらない。いつの間にかウトウトして寝落ちしてしまい、気がついたら本編が始まっていた、なんてこともありました」(30歳代、女性)

「どうせ時間どおりに始まらないとわかっているせいか、ギリギリになって入ってくる観客が多くて、落ち着かない。暗くなった場内で、スマホで照らして座席を探したり、ポップコーンの容器を抱えて前を通ったりする観客がいつまでもつづき、なかなかスクリーンに集中できない」(50歳代、男性)

 映画上映のタイムテーブルは、サイトに細かく表示されている。たとえば、ある日のイオンシネマ板橋で、「国宝」は、〈14:00~17:10〉と表示されていた。〈190分〉である。だがこの映画は、公式サイトによれば、上映時間〈175分〉である。ということは、その差〈15分〉が、予告編ということになる。〈14:00〉上映開始のはずが、実際には、15分後の〈14:15〉に始まるのである。

「15分? 冗談じゃないよ。20分以上やっていると思うよ」(50歳代、男性)

 実は、この〈15分〉とは、おおやけに発表されている「上映時間」内における予告編などのタイムを指している。実際には、その前の、客入れ(おおむね上映開始10~15分前)から映像は流れているので、早めに行くと、最長の場合で、15分+15分=〈30分〉も、観る気のない新作の予告編や、「NO MORE 映画泥棒」に、付き合わなければならないのだ。

「どうしても予告編がいやなら、名画座に行くしかないですね。東京でしたら、神保町シアター、ラピュタ阿佐ヶ谷、シネマヴェーラ渋谷といった名画座は、時間ピッタリに、いきなり本編から上映開始されますから。国立映画アーカイブに至っては、予告編がないどころか、上映開始と同時に、入場禁止にしてくれます」(男性の名画座ファン)

 しかし、名画座は、基本的にむかしの名作映画である。やはり、シネコンの大画面で新作も観たいものだ。いったい、なぜ、シネコンの予告編は、こんなに長いのだろうか?

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