「勝ち組」「教員」の親ほど中学受験で暴走する… 現場で見た“教育虐待”の典型4パターン

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 近年、東京を中心に起きているのが「第三次中学受験ブーム」と呼ばれる現象だ。小学3年生くらいから進学塾に通い、地域によってはクラスの7割以上が中学受験をする。

 なぜ、こうしたことが起こるのか。大手進学塾の関係者は次のように述べる。

「かつて中学受験はごく一部の裕福な家庭か、抜きに出て頭の良い子がするものでした。しかし、都心を中心に夫婦共働きのパワーカップルが増えたことで、無理をすればわが子を私立へ行かせられるようになった。

 塾代は交通費などを含めて年100万円を超すこともざらです。しかし、親の中には“課金”すれば優秀な子に育つと思い、塾に言われるままに小学3くらいから受験勉強をスタートさせる。すると、受験までに課金額は何百万円もつみ上がります。

 塾の方もその構造をわかっているので、親に宿題を手伝わせる、送り迎えをさせるといったふうに巻き込み、講習、補講、個人指導と様々な課金方法を用意する。いったんそれに組み込まれると、親は『ここまで課金したんだから、今さらやめられない』と考えるようになり、いつしか『子供のための受験』から、『親の意地のための受験』になるのです」

 加熱する受験業界の中で、数年前から注目されているのが教育虐待だ。

 一部の親が受験にのめり込むあまり、子供の心が壊れるくらいに長時間の勉強を強いたり、厳しい言葉で叱りつけたりすることが起きているのである。子供がやめたいといっているのに、あの手この手でつづけさせる親もいる。

 私が原作を担う漫画『教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち』(新潮社)の連載媒体では、その当事者から連日たくさんのコメントが寄せられている。

 教育虐待をする親を批判するのはたやすいが、実は多くの人がそうなる可能性を抱えている。親を虐待へと暴走させる要因とは何なのか。

 漫画の取材から見える、教育虐待をする典型的な親のタイプを4つ示したい。

次ページ:4つのタイプと「よく言うセリフ」

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