戦時中の「ゲルニカ」に、豊かな時代の「汝窯青磁筆洗」“アート”の生まれ方いろいろ(古市憲寿)
戦争なんて起きない方がいいに決まっているのだが、こと芸術に目を向けると有事だからこそ生まれた作品がある。代表格といえるのがピカソの「ゲルニカ」(1937年)だろう。バスク地方の街ゲルニカに対する空襲への怒りから、わずか1カ月で描き上げられ、パリ万博に出展された作品だ。このナチスによる空襲は、ピカソ作品によって人類共通の悲劇として広く記憶に刻まれることになった。
同じスペインではゴヤの「マドリード、1808年5月3日」も戦時アートといえる。ナポレオン軍によるスペイン市民の処刑シーンを描いたものだ。...

