今さら聞けない「自民党税調」 “ドンの後継者”の就任辞退とインナー外からの「小野寺税調会長」誕生の「意味」とは
企業や業界団体の利害が複雑に絡み合う「税制改正」は、どこかで「解」を出さなければいつまでも議論が続くことになる。各方面の意見を吸い上げ、議論を行った上で最後に決断する――。長年、その役を担ってきたのが「自民党税制調査会」、特に10人弱の「インナー」のメンバーだ。ただ、非公開のインナーのみで税制の重要事項を決める独特の慣習にはこれまで、「密室政治」との批判がつきまとってきた。
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※本稿は「週刊新潮」2025年11月27日号掲載【たった10人弱のインナーによる究極の密室政治 「自民党税制調査会」の研究】の一部を抜粋/編集したものです。
異例の抜擢となった小野寺五典氏
「税調が変わったと思っていただくことが大事」
高市首相の肝いりで新たに自民党税調会長に就任した小野寺五典氏(65)は10月24日、高市政権発足後初となる幹部会合(インナー)の後、そう述べた。
自民党税調は秋から年末にかけて議論を重ねて「税制改正大綱」という与党案を作り上げ、それを政府が閣議決定。そして関連法案が翌年の通常国会に提出される、という流れで、毎年の税制改正は行われている。
首相の諮問機関である政府税制調査会(政府税調)も税制のあり方について「提言」を出すなどするものの、我々の暮らしに直結する税制改正に強い影響力を誇るのは政府ではなく、あくまで自民党税調だ。
企業や業界団体の意見を吸い上げ、議論を行った上で最終的に税制改正の判断を下す。
その役割を長きにわたり担ってきたのが「自民党税調」、その中でも10人弱のインナーのメンバーたちである。
インナーの密議をまとめる税調会長には当然、税制に精通したメンバーが重用されてきたが、今回、新会長に選ばれた小野寺氏は「インナー外」からの異例の抜擢だった
実質ナンバー2の小委員長に山際大志郎元経済再生相(57)が就いたほか、松島みどり首相補佐官(69)や西村康稔元経済産業相(63)、井林辰憲元内閣府副大臣(49)が新たなインナーメンバーとなった。
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