今さら聞けない「自民党税調」 “ドンの後継者”の就任辞退とインナー外からの「小野寺税調会長」誕生の「意味」とは

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高市総理の目指す「積極財政」の体現を期待された人事

「これまでアンタッチャブルな独立王国のように振舞ってきた自民党税調に対して、高市さんがかねてよりネガティブなイメージを強く持っていたことは間違いありません。税調のメンバーをガラッと入れ替えたのはその意志の表れ。税調の形を完全に変えようとしているのでしょう」

 そう語るのは政治ジャーナリストの青山和弘氏だ。

「高市さんの周辺も“もう党税調の時代は終わりだ”と言っています。例えば前の税調では“ラスボス”と呼ばれた宮沢洋一さんのような、財務省に近い重鎮がトップに君臨する聖域だったわけですが、そういった税調の時代はもう終わり、ということです。そのメッセージを伝えるため、手始めに宮沢さんを切り、インナー出身ではない小野寺さんを会長に据えたわけです」

 なぜ小野寺氏に白羽の矢が立ったのか。

「石破政権で政調会長を務めた小野寺さんは国民民主党との『103万円の壁』を巡る協議の経緯など、これまでの流れを知っていることが大きい。一方で、財務省寄りだった前会長の宮沢氏のような強いこだわりがない人で、高市さんの考えに沿って柔軟に動いてくれるだろう、との期待があっての起用でしょう」(同)

 さらに、注目すべきは税調ナンバー2の小委員長に山際氏が就いたことで、

「小委員長というのは、業界団体から陳情を受けた族議員の主張を幅広く吸い上げる小委員会を仕切る重要ポスト。ここには、これまで党税調を実質的に支えてきた後藤茂之氏(69)が就任するのが既定路線だったのですが、高市さんの意向で、後藤氏ではなく山際氏を押し込んだ。後藤氏は結局、小委員長代理というナンバー3のポストに追いやられた形になりました」(同)

 山際氏は、税調会長を務めたこともある甘利明元経済産業相(76)の側近として知られる商工族である。

「彼は財政規律よりも経済的な成長戦略を志向する人で、高市さんが目指す積極財政を体現することを期待された人事であることは一目瞭然。今回インナー入りしたメンバーを見ると、西村氏も商工族ですし、積極財政を志向するメンバーで固めようという意図は明確です」(同)

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