「塾代いくらかかってると思ってるの」――教育虐待の現場で見た、中学受験で子供を壊す親の“3つの言葉”

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“受験後”の後遺症も

 ここまで無意識のうちに子供を傷つけがちな言葉を見てきた。難しいのは、子供によって傷つく言葉が異なるところだ。

 今回挙げた言葉は、説明されればマイナスの側面があることを納得できるだろう。しかし、子供の置かれている状況によっては、「合格を信じているからね」という励ましの言葉がプレッシャーになったり、「志望校のレベルを下げる?」という思いやりの言葉が努力を否定したりすることにもなる。

 それがトリガーとなって子供の心が壊れれば「受験うつ」になるだけでなく、一般的な虐待と同じくらいのトラウマを背負いかねない。

 教育虐待による被害の実例は漫画でも多数紹介しているが、それが一生涯にわたる親との軋轢や、受験が終わった後の燃え尽き症候群を引き起こすこともある。

 ひどい場合は、自己否定感が膨らんで身体的、性的に自分を傷つける行為に及ぶ子もいれば、過覚醒症状といって常にイライラしたり警戒したりして攻撃的な言動を示す子もいる。

 受験前の子供の身にそうしたことが起きれば、受験勉強が原因だとわかるだろう。しかし、合否判定から何年かして症状が出ることもある。そうなると、親子だけでなく、医療者ですら教育虐待との因果関係を見つけにくい。

 受験はうまくやれば、家族みんなの素晴らしい思い出になる。仮に結果が伴わなくても、それが子供の人格形成に良い影響を与え、家族の絆が強まることもあるだろう。

 だからこそ、親は合否だけに縛られるのではなく、一歩引いたところから子供の心を考え、未来につながる言葉をかけるように心がけることが大切なのだ。

石井光太(いしい こうた)
1977年、東京生まれ。2021年『こどもホスピスの奇跡』で新潮ドキュメント賞を受賞。主な著書に『遺体 震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『教育虐待 子供を壊す「教育熱心」な親たち』など。『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか。マララ・ユスフザイさんの国連演説から考える』など児童書も多い。『ルポ スマホ育児が子供を壊す』(新潮社)はロングセラーとなっている。

デイリー新潮編集部

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