トランプ会談は「ホームラン」、支持率は驚異の80%… 「高市現象」の正体とは
【全2回(前編/後編)の前編】
高市早苗首相(64)は、思えば先の自民党総裁選の本命ではなかった。が、各国首脳と対面する「外交ウィーク」も表面上は無事乗り切り、内閣支持率は80%に。首相の愛用品まで大人気で、SNSには賛辞が溢れる。「高市現象」とも呼ぶべき、この熱狂の正体とは。
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高市首相の外交ウィークは就任からわずか5日後、マレーシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に始まった。以降、トランプ米大統領(79)を日本に迎え、韓国で日韓、日中首脳会談に臨み、さらにはアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議まで怒濤の日程をこなしたのである。
11月1日、韓国での記者会見で高市首相は、
「非常に濃密かつ有意義な外交ウィークを走り抜けてまいりました。まさに世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す、そのための歩みを力強く、そして着実にスタートしております」
そう振り返り、満足げな表情を浮かべた。
「“世界の真ん中で咲き誇る”“日本を取り戻す”というフレーズは、安倍晋三元首相が好んで使ったものです。高市首相が所信表明演説でも2回にわたり引用したのは“安倍外交”の正統後継者であると印象付ける狙い。ともあれ最初のハードルとなった日米首脳会談について、外務省幹部からは“ホームランだった”とする賛辞の声が上がっています」(政治部デスク)
明海大学教授の小谷哲男氏もこう評価する。
「10月28日の日米首脳会談で高市首相はトランプ大統領に防衛費増額の方針を伝えながら、親密な雰囲気を醸し出すことに成功しました。米原子力空母にも大統領と共に乗艦し、日米同盟の結束を示しています。外交デビューとしては、上々の滑り出しといえるでしょう」
〈外交ではなく接待〉
もっとも、首相が空母上で米兵の歓声に応えて拳を突き上げながら飛び跳ねた上、トランプ氏に抱き寄せられる場面まであったことには異論も出た。
実業家でコメンテーターの辻愛沙子氏(29)は自身のXに〈対等な国の首脳2人とは思えない構図を見せつけられて胸が苦しい。外交ではなく接待だ〉と投稿。
日本共産党の志位和夫議長(71)も同じくXで〈正視に堪えない卑屈な媚態だ〉と酷評している。
しかし、元財務官僚で信州大学特任教授の山口真由氏は冷静な見方を示す。
「私自身は高市首相の空母での振る舞いについて、評価も批判もする気はありません。“こびている”という意見がありますけれど、現状の日本には米国と対等に渡り合うカードがない。日本の首相は米国の大統領に対して、ある程度は顔色をうかがうしかないのでは」
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