有名私大に通う女子大生が“ドラッグの運び屋”に堕ちるまで…「タンポンよりも少し太い“ブツ”をえずきながら丸呑みしたんです」

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「社員登録」

 翌週、シーラがレナを連れて私のもとを訪れた。レナは上品で美しい女性に成長していた。少しはにかみながら「ごめんなさい」と頭を下げたレナは、軽く頷くと、意を決したのか事情を話し始めた。

「レナはバカなんです。売掛金を返すために“運び(運び屋)”をやってしまって。最初は男性客相手のいかがわしいお店を紹介されたけど、“絶対にイヤ! 英語かベトナム語を活かせるバイトはないの?”と伝えたら、“首の後ろにタトゥーを入れたベトナム人(以下、首男)”を紹介されて。そして、この男に連れられて、日本語を喋る“顔の怖い中国人(以下、凶相男)と会ったの。結果的には、この中国人に勧められて“運び”をやるようになりました。でも、もうつらくて、つらくて……。私だけでなく、いまベトナムにいる“利久斗”という男の子も助けたいんです」

 凶相男から「ジュエリーをハンドキャリーする仕事だ。1カ月に1回くらいベトナムなどに短期出張してもらう。報酬は1回3000~5000米ドル。旅費に保険も付ける」と言われたレナは、「どう考えても怪しいけど、報酬は高いし、短期だったらいいんじゃないか」と安易な気持ちで引き受けてしまったという。その際、“社員登録”が必要ということで運転免許証やパスポート、学生証の写し、緊急連絡先や家族構成を記した履歴書を求められるがまま渡したという。

「包みの中身は絶対に見ちゃダメだよ」

「最初の“出張”はダナン(ベトナム中部にある海沿いの都市)でした。帰国日の朝、日本人の男がホテルの部屋にやってきて、“初めてなんでしょ? 数は少ないから平気だよ。彼女の言う通りにすればいいから”と紙袋を手渡してきました。中には小さなポシェット、その中にタンポンより少し太いラップの包みが沢山入っていて……。一緒にきたベトナム人の女がその包みを取り出して、“このオイルにつけてこうやって1個ずつ飲み込むの。あそこに隠すときはこうね”なんて動作を交えながら、ベトナム語と英語で説明を始めたんです」

 レナは当初、「えっ、なに! 飲めないよ(コン ウオン ドゥオック)」とベトナム語で拒否したという。男にも「なにこれ! 話が違うじゃん」と強く訴えると、「ごめんな、聞いていなかったんだ。でも、断ると帰れなくなるよ。しばらく従ってからひっそりと身を引いた方がいい。それから包みの中身は絶対に見ちゃダメだよ」と優しく諭してきたという。レナはそれでも納得がゆかず、凶相男にネット電話する。

 すると、違う男が電話口に出て、「こら! おまえ、お姉さんとこ、いくよ、いいか」と怒鳴り散らかしてきたという。

「それにビビっちゃって仕方なく1個ずつ飲みました。よく見るとコンドームをぐるぐる巻きにしたよう親指大の“パッケージ”で、これを食用オイルに浸して“ごくん”と丸飲みするんです。言われたとおりに試しましたが、何度もえずいちゃって。時間をかけていくつも飲み込みました。“局部にも挿入しろ”と言われて参りましたけど、言われるがままトイレで……」

 いわゆる“飲み込み”を含む「体内隠匿密輸」の危険性については、本連載【空港のトイレで“ブツ”を飲み込み、挿入して…20代女性が“コカインの運び屋”になった哀しい理由】(2024年06月03日配信)で詳述しているので参照してもらいたい。

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