有名私大に通う女子大生が“ドラッグの運び屋”に堕ちるまで…「タンポンよりも少し太い“ブツ”をえずきながら丸呑みしたんです」

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激増する10代による密輸・密売

 ここ最近、若者による薬物の密輸・密売事件が急増している。富山県では10月までに16~21歳で構成される薬物密売グループが摘発され、関係者9人が逮捕されるとともに多種、大量の薬物と多額の売上金が押収されている。また、福岡県では9月までにTHCリキッド計14キロを「レトルトカレー」のパックに隠匿し、タイから密輸したとして高校生と無職少年が逮捕された。14キロのTHCリキッドは、マリファナ(乾燥大麻)に換算すると70キロ以上に相当する代物だ。これを高校生たちが密輸したというのだ。【瀬戸晴海/元厚生労働省麻薬取締部部長】

 どうして10代の若者がドラッグの密売に手を染められるのか――。誰もがそんな疑問を抱くのではないだろうか。だが、これが薬物犯罪をめぐる令和の日本の現実なのだ。

 少しオーバーな言い方をすれば、背後に暴力団やトクリュウが控えているか、都心か地方かなどは全く関係ない。SNSとスマホさえあれば「誰でも、どこにいても、どんな薬物でも使用、密輸、密売できる」。そんな時代が到来している。

 実は、筆者自身もいま、薬物密輸が絡んだ事件相談に対応している。

 ふつうの女子大生が高額な売掛金を返済しようと薬物の運び屋になり、海外で行方不明になったという。アルバイト感覚で密輸に手を出した挙げ句、ついには自らが事件の被害者となる。あまりに刹那的で悲しいストーリーだ。

 ネット社会の拡大と経済のグローバル化が進む現在、一部の若者の薬物に対する危機意識と警戒感が極端に弱まり、安易な気持ちで薬物使用に走るケースは枚挙にいとまがない。さらに、薬物の「使用」という犯罪行為と、「密売」や「密輸」という重大犯罪の境すらなくなっている。このような現実が日本で急速に進んでいることを読者に知ってもらいたく、今回は相談者である女子大生の姉の承諾のもと、一部のシチュエーションを変更した上で彼女の“密輸”にまつわるエピソードを紹介したい。

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