すべては「妻の更年期」から始まった… 55歳夫が肋骨&手首をへし折られ“出家” を考えるほどこじれた末路
【前後編の後編/前編を読む】不倫の子を堂々と育てた母と、いつもビクビクするその息子…「僕はヘタレなんですよね」 55歳男性が“日和って逃げた”人生の2つの後悔
金藤裕治郎さん(55歳・仮名=以下同)の母は、不倫関係にあった相手との子である彼を女手ひとつで育てた。堂々と生きる母の姿を見て育った裕治郎さんは「真っ正直に生きていかなければならない」という思いを抱くようになるが、言葉とは裏腹に、“人の目”を気にして就職。結果、心を病んでしまう。そんな裕治郎さんを救ったのが部署の先輩にあたる佳菜子さんだった。休職中の彼を近場のレトロ喫茶店に誘い出して励まし、復職の後押しもしてくれた。次第に佳菜子さんを信用するようになった裕治郎さんは、28歳の時に彼女と結婚した。
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【前編を読む】不倫の子を堂々と育てた母と、いつもビクビクするその息子…「僕はヘタレなんですよね」 55歳男性が“日和って逃げた”人生の2つの後悔
3歳年上の佳菜子さんの「すごいところ」は、心が常にオープンなところだ。彼女の言葉に嘘はない。
「彼女は毎日、『裕ちゃん、愛してる』と言うんです。僕はなかなか感情を言葉にできなかったけど、佳菜子はそれをわかっているから僕に強要はしない。でも言われているうちに『僕も』と答えるようになり、数ヶ月後には『佳菜子、好きだよ』と言うようになりました。好きだ、愛していると言っていると、自分に魔法をかけているような気になってくる。こんな素晴らしい愛に巡り会えてうれしいと毎日思っていた。言霊ですかね」
結婚から半年後には妊娠がわかり、4000グラムの大きな女の子が生まれた。佳菜子さんは1年の産休を経て仕事に復帰。娘に愛情を注ぎながら、夫にも心を傾けた。子どもが生まれると妻は夫のことが眼中になくなると友人から聞いていた裕治郎さんだが、「自分たちにそういうことはなかった。佳菜子は常に僕を全力で愛してくれていると思わせてくれた」という。佳菜子さんの心の深さと広さを、裕治郎さんは心から尊敬していた。
その後、もうひとり女の子が生まれた。家族が増え、裕治郎さんは20代までの人生と30代からの人生が180度変わったと顔をほころばせた。あのころは忙しかったけど、楽しかったなあとつぶやく。
「夫婦げんかもほとんどなかった。けんかしている時間的余裕もなかったし、子どもの教育に関しても、ふたりとも『子どもに任せよう』で一致。幸せでした。幸せすぎたのかもしれない」
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