「中国系マフィアは日本人を顎で使い…」 特殊詐欺、諸悪の根源は中国政府だった
ミャンマーで摘発が続く国際的な詐欺集団の首謀者は中国系マフィアである。彼らは日本人を監禁し、「かけ子」として顎で使っていたが、諸悪の根源は中国政府が強力に推し進めた「一帯一路」政策だった。ノンフィクション作家の譚ろ美氏が真相を解説する。
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今年2月、タイ国境に近いミャンマー東部カイン州(旧カレン州)で国際的な特殊詐欺集団が摘発され、加担させられていた日本人が保護されたことは記憶に新しいだろう。
犯罪の首謀者は中国系のマフィアだが、近年、中国政府は撲滅に力を入れており、厳罰に処している。その一例が、9月29日、中国・浙江省の温州市中級人民法院が下した判決である。
事情通によれば、
「ミャンマーに拠点を置く中国系犯罪グループ『明(ミン)』ファミリーの首謀者11人に対して死刑判決を下し、その他5人に2年の執行猶予つき死刑判決、11人に終身刑、12人に5~24年の禁錮刑が言い渡されました」
「明」ファミリーは、2015年以降、中国・雲南省と隣接するミャンマー北東部のシャン州コーカン自治区に流入した中国人の犯罪グループである。中国国内をターゲットにして大規模な特殊詐欺を行い、誘拐、監禁、暴行、麻薬密売、組織売春、その他の犯罪行為も合わせて、100億元(約2100億円)以上を稼いでいたとされる。
保護された外国人7000人のうち5000人が中国人
中国での特殊詐欺の被害額は、日本をはるかに超え、公表はされていないが、2桁は違うといわれている。それだけに中国政府も手をこまねいてはいられないという事情がある。
香港の星島日報ネット版「星島ヘッドライン」(25年2月19日付)によれば、「明」ファミリーが摘発されたのは約2年前の23年11月であり、わずか2年でのスピード判決になったわけだ。
そのコーカン自治区の事件では日本人が含まれていなかったが、冒頭に触れたカイン州の町ミャワディでは、保護された外国人約7000人のうち、中国人が5000人近くに上り、それ以外は28カ国・地域の出身者とされ、当初は日本人が8人含まれるとされた。彼らは、日本のほか、東南アジア、中東、アフリカなど各チームに分かれて国際詐欺を働いていた。
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