「小泉を担いでも、うま味がねえな」 麻生副総裁が最後に高市早苗氏を選んだ舞台裏 「小泉陣営には気の緩みが」

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一枚岩になれなかった林陣営

 小泉選対の大岡敏孝衆院議員(53)も敗戦の弁をこう口にする。

「1回目の投票を前にして“議員票が100票いった”“110票が見えた”と捕らぬ狸の皮算用をしてしまいました。ところが、フタを開ければ1回目の議員票は80票。全然集まらなかったわけです。小泉陣営は、高市陣営に比べると決選投票を見据えた動きもできていませんでした」

 林芳正官房長官(64)の陣営はといえば保守穏健派の旧宏池会(旧岸田派)議員が中心で、保守強硬派の高市陣営にはくみしないとみられていた。が、林陣営は予想に反し、一枚岩になれなかった。林氏の地元の自民党山口県連に身を置きながら旧安倍派に属した面々が高市氏に投票し、あろうことか旧宏池会からも高市支持に回った者がいた。

 旧宏池会の議員が打ち明ける。

「林陣営は決選に際して、投票先に関するサインを設けました。陣営内で最初に投票する石田真敏元総務相(73)が用紙を右手で箱に入れれば小泉氏、左手なら高市氏と取り決めたのです。石田氏が投票したのは右手、すなわち“後に続く議員は小泉に入れよ”だったのですが、少なからぬメンバーが第1回投票で党員票トップに立った高市氏に票を入れました」

「岸田氏の求心力は急速に低下」

 林陣営を率いた選対幹部の中からも決選で高市氏に入れた議員がいた。

 当の議員が語る。

「自民党が参院選で負け、広く国民のみなさまの話を聞かなきゃいけない中で総裁選に臨んだわけです。高市先生があれだけ党員からの支持を得たというのに、国会議員がそれを覆せるのか。(林陣営の議員には)そんな思いもあったのではないでしょうか」

 政治部記者が言う。

「旧宏池会では、岸田氏や木原氏が旧宏池会の林氏ではなく小泉氏の支持に回ったことに反発する向きもありました。もはや旧宏池会は“林派”と少数の“木原グループ”に分裂した状態で、岸田氏の求心力は急速に低下しています」

 ここで見えてくるのは、旧派閥がいずれも死屍累々の惨状を呈する中、麻生氏が権力闘争にほぼ独り勝ちしたということだ。

 後編【「麻生さんに引退する考えはなく、次の総選挙にも出馬する意向」 総裁選の知られざる舞台裏 「第2次麻生内閣の誕生」の声も】では、連立交渉相手の本命など、今後の政界の動向について詳しく報じる。

週刊新潮 2025年10月16日号掲載

特集「まさかの自民総裁選 85歳の怪物『麻生太郎』に牛耳られる『高市早苗』」より

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