「小泉を担いでも、うま味がねえな」 麻生副総裁が最後に高市早苗氏を選んだ舞台裏 「小泉陣営には気の緩みが」

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「約80名の動きをまとめてコントロール」

 政治ジャーナリストの青山和弘氏が言う。

「麻生氏は投票日前々日の2日、都内で岸田文雄前首相(68)と会談。その後、岸田氏は周囲に“麻生さんがすごいことを考えている”と漏らしていました。岸田氏自身は今回、小泉陣営に加わったとみられますが、会談の中で麻生氏から“作戦”を聞かされたのでしょう。岸田氏は“まさかこれで(小泉氏が)逆転されたりしねえよな”などと不安げな様子を見せていたそうです」

 岸田氏の懸念は的中した。麻生氏が局面を変える一手を放ったのだ。すでに各陣営に加わった議員を除く、フリーな立場で動ける約20名の麻生派議員がカギとなる役目を果たした。青山氏が続ける。

「まず1回目の投票で、茂木敏充氏(70)・小林鷹之氏(50)の両陣営に麻生派の議員を振り分けて“貸し”を作りました。これが決選投票の段階で、茂木・小林両氏に投じられた票を高市支持へと引き入れる布石となったのです。麻生氏は、限られた手駒で、茂木・小林両氏の支持議員を含む約80名もの動きをまとめてコントロールすることに成功したといえます」

小泉陣営の「気の緩み」

 前出のデスクが補足する。

「麻生氏は投開票日の前夜、自派議員の一部には高市支持の意向を伝えていたものの、全体にお触れを出したのは投開票当日の午前中でした。麻生氏はその段階で、高市氏が党員票で小泉氏を大きく引き離すだろうと確信していた。そこで自派議員に“党員票は高市がトップだ”と伝え、支持を促したのです」

 同様に、茂木・小林両陣営でも「決選では党員票の多い候補に投じる」との考えが共有されたそうだ。

 もっとも、高市氏を勝利に導いたのは麻生氏の動きだけではない。ライバルの小泉陣営は、事前の各種情勢調査で議員票では優勢を維持。皮肉にも、これが気の緩みをもたらした。

 自民党関係者が言う。

「小泉陣営は選挙戦終盤の10月1日夜に飲み会の開催を予定し、3次会のカラオケまで組み込んでいた。さすがに“選挙中にまずい”との判断で取りやめたそうですが、投開票前夜、赤坂にある衆院議員宿舎の一室で事実上の“祝勝会”を開催。陣営議員らで盛り上がったと聞きます」

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