「小泉を担いでも、うま味がねえな」 麻生副総裁が最後に高市早苗氏を選んだ舞台裏 「小泉陣営には気の緩みが」
「中曽根さんに麻生さんへのアプローチをお願いした」
前回、高市氏は決選投票前の演説で熱が入り、持ち時間の5分を超過した。その失敗を念頭に、今回は古屋氏や官僚出身の若手議員らからなる「政策班」がスピーチの原案を作成。それは、登壇やお辞儀に要する時間まで緻密に計算されたものだった。
中でも切り札となった要素がある。高市陣営の選対本部長に中曽根弘文参院議員(79)が就いたことだ。狙いは「麻生対策」。古屋氏が明かす。
「中曽根家と麻生家は70年以上にわたる深い関係があります。家の格が大事なんです。そうした背景を踏まえて中曽根さんに麻生さんへのアプローチをお願いしました」
吉田茂元首相を祖父に持ち、皇族とも縁戚関係にある麻生氏は「血筋」や「家柄」を重んじるとされる。その琴線に触れる存在として「大勲位」こと故・中曽根康弘元首相の長男である弘文氏に、交渉役という白羽の矢を立てたわけだ。
“小泉を担いでも、うま味がねえな”
一方、小泉陣営には菅義偉元首相(76)をはじめ、加藤勝信財務相(69)、木原誠二前選挙対策委員長(55)ら、党内実力者が結集していた。小泉氏優位とみられたゆえんでもある。が、これが麻生氏には面白くなかった。
「選挙戦の終盤、麻生氏は“小泉を担いでも、うま味がねえな”とボヤくようになっていました」
とは、先の政治部デスク。
「つまり、仮に麻生氏が決選で小泉氏を支持しても、麻生派より先に論功行賞にあずかる連中が大勢いると考えたわけです。一方、高市陣営は“総裁になったら人事を麻生氏に任せる”という趣旨のメッセージを発していた。これもまた決め手になったのではないかと思われます」(同)
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