「進行すると膝に水がたまり…」 2400万人が悩む「変形性膝関節症」を自分で治す方法
40歳を超えると
まず、膝関節は上が大腿骨(太ももの骨)で、それを受け止めるように脛骨(すねの骨)があり、二つの骨の先端は、お互い直接ぶつからないように軟骨でカバーされている。さらに、軟骨と軟骨の間には半月板が挟まっており、軟骨と共にクッションの役目を果たしています。
また、膝関節は全体が「関節包」という膜によって包まれています。関節包の内側には「滑膜」という組織があり、ここから分泌される「滑液」が、内側を満たしている。いわば、エンジンオイルのようなものです。膝に負荷がかかると膝軟骨はスポンジのように滑液を吐き出し、軽くなると吸収する。こうやって足にかかる衝撃をやわらげているのです。一方で、滑液を吸ったり吐き出したりすることで、膝軟骨は栄養を摂取している。
それだけではありません。関節包の外側には、いわゆる「膝皿」と呼ばれる膝蓋骨があって、膝関節を前方でガードしている。その下には「膝蓋下脂肪体」という組織があり、これも衝撃を受け止める役目を果たしています。この膝蓋下脂肪体は膝皿のすぐ下にあるので、自分でも確かめることができます。
このように何重ものクッションやガードがあるのは、膝が体重の大半を支えている組織だからです。一般に、歩いているときは体重の3倍、走ると10倍以上の重量が膝関節にかかるといわれている。非常によくできた組織ともいえますが、残念なことに、ずっと働いてくれるわけではありません。先にも述べたように、軟骨は年齢とともにすり減り、40歳を超えるとなかなか再生しなくなるからです。
痛みの原因
次に痛みの原因を説明しましょう。
変形性膝関節症になると軟骨のすり減りとともに、膝の中で二つの変化が起きています。一つは、半月板の変性です。加齢や強い圧力によって半月板にヒビが入ったり断裂したりするのです。半月板の変性によってかなり強い痛みが起きます。
そして、もう一つの変化は「骨棘(こつきょく)」の形成です。これは、軟骨がすり減ることで、関節の周囲で“骨化”が起こり、トゲのような形状のものができてしまう。
先ほど、膝関節は「関節包」という膜で包まれ、中は滑液で満たされていると説明しました。軟骨がすり減り、また半月板が変性したり、骨棘ができると、その小さな軟骨の破片(摩耗粉)が滑液に吸収されて、滑膜炎を起こす。すると、痛みとなって現れるのです。さらに炎症が続くと、滑液が過剰に作られる。「膝に水がたまる」という症状がこれです。炎症が続いている限り、滑液は常に過剰に分泌され、水を抜いてもまたたまるということが繰り返されます。
また、炎症が起きると、膝皿の下にある膝蓋下脂肪体も中の神経が反応し、痛みを感じるようになる。実は、膝痛で最も多いのは、膝蓋下脂肪体からくる痛みだともいわれています。滑膜炎が続くようになると、膝蓋下脂肪体は硬化してしまい、クッションの役割を果たさなくなってしまう。この三つが、膝痛の主な原因です。
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