「“警視庁人”の心意気」が宿る「ポリスミュージアム」一時閉館へ…「殉職警察官」の壮絶な最期を物語る展示も
殉職者への「鎮魂の言葉」
東京都中央区京橋にある警視庁の警察博物館「ポリスミュージアム」が、一帯の再開発事業に伴う移転のため、9月15日で一時閉館する。
【写真】ポリスミュージアムに展示されている珍しい「赤バイ」や警察航空機導入第1号となったヘリコプター
1961(昭和36)年に「警察広報相談所」として創設され、94年には警察博物館として、日本の警察制度の始まりから現代までの制服や装備などの歴史的資料を展示し、警視庁の活動を紹介してきた。今年6月には累計来館者が400万人を突破している。
6階までの展示スペースで、ひときわ目をひくのが5階にある「時代とともに~警察の歩み」。1874(明治7)年の警視庁創設から、社会情勢とともに変化してきた警察の歴史を解説している展示だが、その一角に、警視庁の殉職警察官の顕彰展示があり、38人の遺影が掲げられ、6人の遺品も展示されている。また、殉職事案を伝える当時の新聞記事を見ることもできる。
犯人逮捕の際や、逃走車(者)を追跡中など、事例は様々だが、血の跡も残る切り裂かれた制服や装備品、色あせた警察手帳などに見入っていると、警察官たちの壮絶な最期の場面が浮かんでくる。
遺影の中央には、第79代警視総監・吉野準氏による「鎮魂のことば」が刻まれていた。
命をかけて
世のため人のため
敢然とたたかった警視庁人の心意気が
ここにある
愛する者を残し
未来を信じながら
いさぎよく
散っていった
警視庁人の物語が
ここにある
功(いさおし)の末永く語りつがれんことを
御霊(みたま)の安らかに眠られんことを
38人の遺影の中に、1989年5月16日に殉職した、小林利明巡査部長(当時35・殉職後2階級特進で警部)と山崎達雄巡査(同30・警部補)の姿もあった。最愛の妻と三人の子供と暮らしていた小林巡査部長、大きな目が優しそうな山崎巡査……二人は練馬署中村橋派出所(当時・現在は「交番」)で地域の安全を守る最前線に立っていた。
剣道2段の小林巡査部長は1974(昭和49)年採用。杉並署、第5機動隊など経て、85年11月から練馬署へ。剣道3段の山崎巡査は78(昭和53)年採用で、小金井署などを経て、85年10月から同署に勤務していた。西武池袋線、中村橋駅南口に近い同派出所では5月15日、午後4時から2人に加え、もう一人の巡査(30)と計3人で勤務についていた。
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