「横山ゆかりちゃん誘拐事件」は「連続殺人事件」のひとつなのか 犯人へのメッセージを父親が綴った

社会 新潮45 2016年8月号掲載

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【隠蔽された幼女誘拐殺人事件】半径10キロ圏内で「5人の少女」が姿を消している――

 群馬県太田市で当時4歳だった横山ゆかりちゃんが行方不明になった事件から、20年が経つ。長年、この未解決事件を取材してきた日本テレビ報道局の清水潔氏が、「新潮45」に「犯人よ、聞いてくれ」を寄せている。

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 事件の現場となったのは、家族で訪れたパチンコ店『P』。パチンコに興じる両親を店内で待っていたゆかりちゃんは、母親の耳元で「優しいおじちゃんがいる……」とささやいたのを最後に、姿が見えなくなった。

 この時、店内の音でよく聞き取れなかった母親は「ついていっちゃ、いけないよ」と注意し、ゆかりちゃんは店内の長イスの方へ向かって行ったという。その10分後にゆかりちゃんはいなくなり、長イスには母親から与えられたおにぎりの食べかけなどが残っていた。

 店の防犯カメラには“サングラス、野球帽、ダブダブのズボンを穿いた男”が、ゆかりちゃんと話す様子が映っており、表に出た男を追うようにして、ゆかりちゃんは外に出て行った。

■「北関東連続幼女誘拐殺人事件」

 10年前に取材を始めた清水氏がまず取り組んだのは、このカメラ映像の検証だった。午後1時27分に入店した男は、パチンコ台には目もくれず、店に入ったわずか3分後に長イスでゆかりちゃんと話をしている。〈最初から誘拐目的で入店したのではないか〉と考えた清水氏は〈一旦外に出てあの特異な服装に着替え“変装”して店に戻ったのでは〉と推測する。※〈〉は本文より引用、以下同

 また、ゆかりちゃん事件の1996年以前より、女児を狙った殺人事件が近隣で連続して起きていた。79年の「福島万弥ちゃん事件」、84年の「長谷部有美ちゃん事件」、87年の「大沢朋子ちゃん事件」、そして90年の「松田真実ちゃん事件」である。これを受け、清水氏はこう仮説を立てた。

〈つまり79年~96年の17年間に、半径10キロ圏というサークル内で5件もの類似手口の事件が起きていたのだ(中略)これは同一犯による、連続事件ではないのか――。私に言わせれば「北関東連続幼女誘拐殺人事件」だ〉

半径10キロ圏というサークル内で5件もの類似手口の事件が起きていた

 だが当時、この視点で一連の事件が注目されることはなかった。ゆかりちゃん事件より前に起きた「松田真実ちゃん事件」が“解決”していたからだ。しかし、これは後に誤認逮捕であることが判明(「足利事件」)。つまり清水氏の“連続事件”説が正しければ、まだ真犯人は野に放たれたまま、ということになる。

■真犯人とDNAが一致する男

「足利事件」の冤罪取材にも尽力した清水氏は、その仮定で「横山ゆかりちゃん事件」をふくめた連続事件の“真犯人”の可能性が高い男を特定、接触している。真実ちゃんもゆかりちゃんのケースと同様、パチンコ店から姿を消しているが、

〈男は私の取材に対し「足利事件」当日にパチンコ店『R』で被害者の真実ちゃんと会話をしたことを認めた。そしてシャツに遺されていた真犯人のDNA(※遺体のシャツから精液が発見されている)と、この男の型は、筑波大学法医学教室・本田克也教授の最新方法での鑑定により100兆人に1人の確率で一致したのである〉

 詳しくは、清水氏の著書『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮文庫)を参照されたい。「新潮45」本誌では、この男がゆかりちゃん事件と無関係ではないと考える“新事実”にも言及している。

■20年の歳月

 ゆかりちゃんが姿を消してから20年、その家族の年月を清水氏はこう書く。

〈パチンコ店に子供なんかを連れていくからだ! 当時も今も両親はそんな言葉を浴びせられてきた。それこそが娘が消えた20年の日々だったといえる〉

「新潮45」記事では、ゆかりちゃんの父・保雄さんが犯人に宛てた〈ゆかりはどんな風に生きていますか――〉とのメッセージも掲載した。

デイリー新潮編集部