「スマホを長時間使用する子どもは前頭前野の体積が…」 豊明市長の「スマホは1日2時間以内」条例は「医学的に理にかなっている」

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 スマホの使用を「1日2時間以内」とする全国初の条例案の審議が、愛知県豊明市で始まった。ネットを中心に賛否の声が渦巻く中、早くも他の自治体では追随の動きも。発案者である、異色の経歴を持つ市長に話を聞くと、条例提出に至る“真相”を語った。

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「今回の条例案を8月20日に公表して以降、いまも市には多くの電話が寄せられています。ただし大半が市外からのもので、内容も誤解に基づく批判的な意見が多数を占めます。一方で、私の元に直接届いている市民の方からの声は“条例の趣旨はごもっとも”や“(可決に向けて)頑張ってください”といった好意的なものがほとんどです」

 こう語るのは、愛知県豊明市の小浮正典(こうきまさふみ)市長(56)である。

 スマホやタブレット端末、ゲーム機器の使用目安を1日2時間以内とする「スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」案の審議が、8月25日に開会した豊明市議会で始まった。

 全市民を対象とした“スマホ制限条例”は全国初となるため、公表されるや、ネット上では〈家庭の問題〉〈余計なお世話〉などの声が溢れ、大炎上する事態となっている。

子供が泣いていると、“スマホを渡して終わり”にするケースが

 それに対し、

「条例は私の発案ですが、決して思い付きで提案したものではありません。実は以前から、市の方でチームを編成して不登校問題に取り組んできた経緯があります。その際、複数の親御さんから“子供がスマホを手放せなくなり、学校どころか外にも出なくなった”といった相談が担当職員に寄せられていたのです」(小浮市長)

 それだけでなく、市の保健師から「子供が泣いていると、母親が“スマホを渡して終わり”にするケースが増えている」との報告も目立ち始めていたという。

「現場から上がってくる事例に接するうち、過度なスマホ使用が日常生活に弊害をもたらし、親子間のコミュニケーションをゆがませている――そんな問題意識を抱くようになりました。条例には罰則や努力義務もなければ、“1日2時間”も目安に過ぎず、仕事や勉強などを除いた余暇時間が対象です。スマホが便利で生活に不可欠なツールであることを前提に、改めて各家庭で適切な使用時間を話し合う機会をつくってもらいたいと考えたのが始まりです」(同)

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