「スマホを長時間使用する子どもは前頭前野の体積が…」 豊明市長の「スマホは1日2時間以内」条例は「医学的に理にかなっている」
スマホを長時間使用する子どもは、前頭前野の体積が増えない
子どものネットリスク教育研究会代表の大谷良光氏によれば、
「豊明市の条例案は医学的なエビデンスからも理にかなっています。脳科学研究の第一人者である東北大学の川島隆太教授が調査した縦断的実証データによると、スマホを長時間使用している子供は、思考や記憶などをつかさどる前頭前野内の6領域の体積が増えないことが分かっています。本来、小学5年生から中学3年生の子供は、3年間で前頭前野の体積が40~50cc増えますが、スマホに耽溺している子供は0か微少の増加にとどまります」
これらの領域は情報・言語処理などに関わる部位のため、未発達だと思考力や集中力の低下を招くという。
「また就寝前のスマホ使用がメラトニンの分泌を抑えるとの研究データは睡眠学会などで広く認識されています。メラトニンは、脳内の松果体から分泌される睡眠と覚醒のリズムを調整するホルモンです。分泌が抑制されると、睡眠障害や眠りの質低下に加え、成長ホルモンの分泌も阻害します」(同)
他の自治体関係者も強い関心
豊明市の動向を、他の自治体関係者も強い関心を持って見つめている。
三重県議会議員の稲垣昭義氏(53)が話す。
「私の中学3年生の娘も寝る前にずっとスマホをいじっていて、長時間のスマホ使用に対しては常々懸念を抱いていました。ちょうど三重県議会でも教育委員会を通じて、スマホ依存の問題が議題に上っているところです。小浮市長の提案が、私たちの審議を加速させると期待しています」
気になる審議の行方については、
「私を除く市議19人の過半数が賛成し可決されると、10月1日から施行となります。議長の私が見通しについて言及することは控えますが、これまでに届いている市民からの意見をいえば、条例案に否定的なものは少ない」(前出の近藤議長)
定例議会の会期は9月22日まで。果たして、どんな結末になるか。
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