「スマホを長時間使用する子どもは前頭前野の体積が…」 豊明市長の「スマホは1日2時間以内」条例は「医学的に理にかなっている」
異色の経歴
実は小浮市長が全国初の条例を提案したのは、今回が初めてではない。
豊明市議会議長の近藤裕英氏(69)が言う。
「市長はもともと大阪市出身ですが、2012年の公募で副市長に選任されると、3年後の市長選に出馬して勝利。以来、現職を務めています。2年前には市長の主導によって、全国の自治体では初めてとなる、市職員を対象とした子連れ出勤制度が導入されました」
経歴も異色だ。京都大学経済学部を卒業後、朝日放送に入社。ちなみに大学時代は相撲部に所属し、主将まで務めた。
その後、朝日新聞や東京MXテレビ、イオンへと転身するが、その間に米ピッツバーグ大や立命館大の大学院を修了している。
小浮市長によれば、
「朝日放送時代に阪神・淡路大震災の現場を取材し、東日本大震災時にはイオングループの広報として宮城県内の避難所で仕事をしました。いずれの現場でも、コミュニティーがしっかりした地域の住民ほどコミュニケーションを密に取り合い、混乱を起こさないことを目の当たりにしました。以来、“コミュニティーづくりに関わってみたい”との思いを募らせていたのです」
そんな市長について、前出の近藤議長はこう評す。
「決断が早く、因習などにとらわれず、事前の根回しもしないタイプです。今回も市議らは発表の2日前に知らされ、皆がビックリしました」
「家族の会話が増えた」
条例案にはスマホなどの使用について、小学生以下は21時まで、中学生以上(18歳未満)は22時までを目安とすることも盛り込まれたが、これは就寝時間に関する国のガイドラインを参考にしたものだ。
「スマホ依存が睡眠時間を削っていることを示唆するデータは数多くあります。全市民を対象としたのは、スマホを使い過ぎているのは大人も同じだからです。条例の一番の目的は、市民の皆さまに自身の健康や家族との時間を見つめ直すキッカケをつくることにあります」(小浮市長)
同市で自治会長を務める男性(70代)は、
「私にも中学2年生と高校1年生の孫がいますが、二人は食事の際もずっとスマホをいじっている。またゲームを始めると、3時間や4時間なんて平気でやる。今回の発表を受け、家族一同で話し合いの場を設けました。すると“そんな大ごとになってるの?”と孫たちも驚き、ゲームをやる時間が30分近く減り、その分、家族の会話が増えた。市長の試みには大賛成ですよ」
と語る。
次ページ:スマホを長時間使用する子どもは、前頭前野の体積が増えない
[2/3ページ]



