犯罪者が狙う家の「二つの特徴」とは 「高齢者のフェイスブックは、犯罪者にとって“宝の山”」

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犯行を実行に移すのは状況が理想的な時だけ

 逆に考えると、セルフサービスではない販売形式で「機会」がそこになければ、校長は犯罪を踏みとどまったかもしれません。実際、元FBI捜査官でプロファイリングの手法確立に貢献したロバート・ケネス・レスラー氏は、ある連続殺人犯の行動を分析してこう言っています。

「犯人は被害者を毎晩物色していたが、犯行を実行に移すのは状況が理想的な時だけである」

 なにも凶悪犯罪に限った話ではありません。ニューカッスル大学のメリッサ・ベイトソン教授らの実験では、無人の有料ドリンクコーナーに掲示する写真が「花」の時と「人の目」の時とでは、後者の方が支払額が3倍に増えたといいます。つまり、「見られている」と感じるだけで、代金をちょろまかす人が減ったわけです。「人の目」を意識させられるということは、すなわち犯罪者にとって、こっそりと犯行に及べる「機会」が失われることを意味します。ほとんどの犯罪者は、今日こそ盗むぞ、痴漢を決行するぞと思って街に出ても、現場の条件が整っていなければ踏みとどまるものなのです。

 従って、犯罪を抑止し、防犯に努めるには、犯罪の「機会」をなくすことが重要である。これが世界の主流である犯罪機会論です。

危ないのは「入りやすく、見えにくい」場所

 では、犯罪者はどんな機会を狙っているのか。最近の「ルフィ事件」でも、あるいは2000年の「世田谷一家殺人事件」でも、01年の「大阪・池田小学校事件」でも、犯罪者が目をつける場所には共通した“二大条件”があります。それは「入りやすい」かつ「見えにくい」です。

 入りやすい場所は、文字通り犯罪者が侵入しやすい。また見えにくい場所は、事前の下見などが容易になる上に、犯行を誰かに見られるリスクも低い。「入りやすく見えにくい場所」こそが、犯罪者にとって絶好の「機会」になるのです。

 ということは、その逆をやられると犯罪者は「機会」を奪われ、犯行を踏みとどまったり、はなからターゲットにしなかったりする可能性が高まることになります。つまり防犯の肝は、自分の家などを「入りにくく見えやすい場所」にすることにあるのです。そして、そのためには「上流」と「下流」の二つの対策が重要になります。水害対策に上流でのダムと下流での堤防があるように、防犯においても、上流で個人情報の漏えいを防ぐことで犯罪者に狙われるリスクを低減させ、下流で自宅周辺の守りを固める必要があるのです。

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