「彼女だけじゃなく、僕もズボンをはぎ取られ…」 アメリカ滞在中の日本人カップルを襲った「最強のレイプドラッグ」の悪夢
ビールに混入されていた「GHB」
詳しく聞いてみると、2人は大学の時からヒップホップ、ラップの大ファン。ビートに乗って歌唱されるリリック(lyric/歌詞)の深い意味を知りたいと、日本とアメリカを行き来しながら、スラング英語とダンスを学んでいるという。
昨年末、本場サンフランシスのラップフェスに参加し、そのとき、隣接するオークランドに住む友人のイーサン (仮名)に誘われて参加したパーティーで被害に遭ったという。加害者につては「5、6人の男だった」ことしか分らない。警察や領事館には自分たちも薬物やっていたことが負い目となって相談できなかったそうだ。
――飲まされたビールにGHBが入っていたことが、どうしてわかったのか。
「目が覚めてから、先に帰宅していたイーサンに電話したんです。するとイーサンが大慌てで検査キット持ってやってきて……。残っていたビールを検査したのです。するとGHBの反応が出て……」(アリ)
検査キットには「Test Your drink for―― DRUGS」などと書かれていたという。
実はアメリカでは、人の尿のみならず、飲み物を検査する試薬が販売されている。地域によっては、試薬を店舗に備えるつけることが州法で義務づけられ、必要に応じて客に提供しなければならない。それだけ「ドリンクスパイキング」が後を絶たないということだろう。
「病院には行ってません……」
――事件から約2か月半が経っているな。 妊娠は大丈夫か? 外傷は? 感染症の検査は? 医師は何と言っているのか。言いたくないことは言わなくていいから。
「病院には行っていません。検査もまだです……。イーサンが病院へ行こうと言ってくれたけど、断りました。ドラッグを使っていたので警察に通報されるとヤバい思って。“オピル(Opill)”というアフターピルを買って飲んだから妊娠は大丈夫だと思います。言いづらいけど裂傷や擦過傷はあります。後ろも前も口の中も……。蒼太のお尻は私よりも酷いことになっています。軟膏を塗って、痛み止め飲んでなんとか凌いでいるけど。先行きのことが不安で先生(筆者のこと)に相談しようということになって……」(アリ)
――そうか、辛いな……。でも、まず病院だ。この手の事件の場合は、HIVやHBs(B型肝炎ウイルス)、梅毒に淋菌といった感染検査をする必要がある。警察への相談は後で一緒に考えよう。それから、被害に遭ったときに着用していた服や下着はどうした? スマホや旅券、貴重品は盗まれてないか。
「やっぱり検査は必要なんですね。明日、必ず行きます。服や下着はドロドロになっちゃいましたし、スニーカーにもドロドロした液が染みついていたから気持ち悪くて全部捨てちゃいました。2人とも盗まれたのは現金だけ……。でも、そんなに持ち歩いてなかったので大丈夫です。実家の母にはまだ言わないでください。蒼太のお母さんにも……」(アリ)
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