年間損失額は1兆2000億円! 放置される「男性の更年期障害」は社会問題 予防に役立つ食事とは?

ドクター新潮 ライフ

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ハードな運動はマイナス

 続いて、受診以前の段階として男性更年期障害の予防に励み、あるいは症状の改善を図る方法を紹介したいと思います。

 まず、肥満の人はテストステロンの値が下がる傾向がありますので太り過ぎに要注意です。肥満度を判定する際の指標であるBMI値を基準にすると、20歳以上の男性の約3割が肥満に該当するといわれていますので、「更年期障害予備群」は決して少なくない状況といえます。

 肥満を解消する上で、またテストステロンの分泌を促す意味でも、運動が欠かせません。しかし、フルマラソンのようなハードな運動は逆にテストステロンの分泌にマイナスに働くといわれていますので、適度な運動を心がけてください。具体的には、30分程度のウォーキングやスクワットなど、軽い筋肉痛が起きるくらいの運動です。

 また、テニスやバレーボールなどのスポーツもお薦めです。これらの競技は運動面のメリットと同時に、仲間や対戦相手と接することで孤独や孤立から来るストレスを軽減でき、テストステロンの分泌にプラスに働くことが期待できます。

「推し活」もお薦め

 精神的な環境がテストステロンに与える影響は小さくありません。興味深いデータとして、2008年の米国の大統領選で勝利したオバマさんを応援した男性のテストステロンの値は下がらなかったものの、負けたマケインさんを応援した男性のテストステロンの値はグッと下がってしまったそうです。また、サッカーのワールドカップの観戦後にテストステロンの値が上がったというデータもあります。

 つまり、「男性らしさ」の淵源であり、古くは狩猟の際に活力のもととなっていた男性ホルモンであるテストステロンは、いわゆる「推し活」や興奮をすることによって分泌が促進されるわけです。さまざまな方法でストレスを上手に発散するストレス・マネジメントは、男性更年期障害の予防に欠かせないといえるでしょう。

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