年間損失額は1兆2000億円! 放置される「男性の更年期障害」は社会問題 予防に役立つ食事とは?

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

80代で悩まされる男性も

 男性更年期障害とは、男性ホルモンと呼ばれる「テストステロン」が加齢やストレスに伴い低下することによって、心身にさまざまな不調が起きる状態を指します。

 テストステロンの分泌のピークは20歳ごろで、以降、徐々に低下していきますが、何らかの原因によってその低下具合が激しくなるなどした場合に男性更年期障害は生じます。

 男性の場合は主に精巣で産生されるテストステロンは、まさに「男性らしさ」をもたらすホルモンです。その作用は多岐にわたり、筋肉や骨を強くしたり、赤血球を作って造血を促したり、また性機能、肝機能、そして認知機能にも影響を及ぼします。

 男性更年期障害になる年齢層は、40代、50代が多いとされていますが、年を重ねれば誰にでも起きる可能性のある病気です。第一線で活躍している芸能人や、また中には80代で更年期障害に悩まされる男性もいます。女性更年期障害の症状が出るのは閉経前後の10年間と限定的であるのに対し、男性更年期障害はいつ発症し、どれくらい続くか分からないという特徴があります。

ストレスなどが原因で更年期障害に

 症状は女性更年期障害とほぼ同じで、疲労感、倦怠感、多汗、不眠、めまい、貧血、頻尿といった身体的なもの、精神的にはイライラ、無気力、文章を読むのがつらくなるなどの集中力の低下、うつ気分などが挙げられます。また、男性の更年期障害に特有の症状に勃起不全があります。

 50代の男性の4割以上に更年期症状があるとの調査結果もあり、実際、診療現場の感覚で言うと、やはり40代後半から50代にかけて患者さんが急増する印象があります。それには「ストレス」が大きく関係しています。

 テストステロンの分泌量は、運動不足や睡眠不足、とりわけストレスがかかることによって低下することが明らかになっています。40代後半から50代の期間は、職場では中間管理職として組織と若手従業員の間で板挟みとなり、家庭でも家のローンや子どもの教育の悩みを抱えるなど、さまざまなストレスが襲いかかってきます。そのため男性更年期障害に陥りやすいのです。

次ページ:病気にかかっていることを認めたがらない

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[2/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。