「トランプ政権」発足で仕事を失いアメリカから日本へ 中国移民の新たな形「二潤」の実態を追う

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中国人居住者は来年にかけて100万人に

 アメリカ大卒の中国人と話していて実感するのは、日本の大学院への進学が「一石三鳥」になるという現状だ。中国系エージェントを通じて準備をすれば院試が学部卒に比べて容易で、大学院であれば英語などが通用するし、目下、売り手市場となっている就活なら、卒業後に終身雇用の色もまだ残る日本の会社に就職しやすい。

 実は、中国版インスタとも言われる、RedNote(小紅書)で「美潤日」(アメリカから日本へ潤する)と検索すると多くの投稿が出てくる。

 カリフォルニアから東京に「潤日」してきたあるユーザーは、日本で大学院を修了し、現在は仕事も安定していて、永住権も申請済みだ。このままずっと日本に住み続けるつもりだという。

「(他国と)給与などの面ではもちろん大きな差がありますが、生活するには十分ですし、私にとって東京が与えてくれる『感情的な満足度』がその差額を埋めてくれます」

 昨年スタンフォード大を卒業してから東京でスタートアップを始め、もう在日歴7ヶ月だというユーザーは、同志たちのためにWeChatグループを立ち上げたのだそうだ。「最近、世界が不安定」で、多くのソフトウェア開発者やフィンテックの友人たちが「日本での生活や就職の可能性」について質問してきたことがきっかけだった。

 その投稿によると、すでに700人以上の「美潤日」が参加しており、メンバーには、米国トップ大学の出身者や、ニューヨークの金融機関大手、シリコンバレーの住民たちが含まれると豪語している。AI起業、学術研究、株式・不動産投資ポートフォリオ、税務・居住ステータスについて活発に議論を交わしていることがわかる。

 日本における中国人居住者は来年にかけて100万人に達するとの予測もあり、受け入れの是非について議論が活発になってきた。「潤」というとまだまだ中国から直接やってくるイメージが強いかもしれないが、アメリカなどから高度なスキルを持つ人材が流入している現実にも目を向ける必要がありそうだ。

舛友 雄大(マストモ タケヒロ)中国・東南アジア専門ジャーナリスト
1985年福岡県生まれ。カリフォルニア大学国際関係修士。2010年中国の経済メディアに入社後、日本を中心に国際報道を担当。2014年から2016年までシンガポール国立大学で研究員。最新刊は『潤日(ルンリィー) 日本へ大脱出する中国人富裕層を追う』

デイリー新潮編集部

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