「小室さんのお子さんが天皇になることを国民が認めるのか」 読売新聞の「女系天皇“容認”論」に専門家が苦言 

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「小室さんのお子さんが天皇になることを国民が認めるのか」

 保守派の論客もまた、今回は静観していられるはずがない。21年の有識者会議でヒアリングに応じた麗澤大学の八木秀次教授は、

「提言には事実誤認や論理矛盾が見られます。例えば社説には『与野党協議では、女性宮家の創設について各党の意見が概ね一致している』とありますが、全くの間違いです。話し合われているのはあくまで女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案に過ぎません」

 また旧宮家の男系男子の皇族復帰案についても、

「社説では、長らく一般人として暮らしてきたことから『国民の理解が得られるのだろうか』としています。その一方、女性皇族の配偶者となる男性も一般人であるはずなのに、こちらは夫・子も皇族にとうたっている。そもそも旧宮家の男系男子の方が、よほど皇族としての正当性があるはずです」

 さらに、こう続けるのだ。

「私は21年のヒアリングで『女系継承では眞子内親王殿下(当時)のお相手との間に生まれたお子さまが天皇になる可能性もある』と述べました。女性宮家や女系天皇の議論は、小室圭さんのような人が皇族になる、あるいはそのお子さんが天皇になることを国民が認めるのかと考えれば、是非は明らかだと思います」

「直系でなければできない経験」

 とはいえ、愛子さまと佳子さまは、今年12月でそれぞれ24歳と31歳になられる。これ以上、将来のお立場が不安定のままお過ごしいただくわけにはいくまい。皇室制度に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉准教授が言う。

「天皇としてのあり方、なさりようを引き継いでいかれるには、直系で継承するのが最良だと思います。現実的に考えれば、今上陛下から悠仁さまにさまざまなことをお伝えになるのは難しい。ご一緒に生活されながら背中を見て学ぶといった経験は、直系でなければできないと思います」

 続けて、こう明かす。

「この提言は、決して意外ではありません。平成の終盤、私は読売のインタビューを受けたことがあります。女性宮家や女性・女系天皇を検討すべきだという立場で話したのですが、読売は保守的だと思っていたので、『こんなこと喋って大丈夫ですか』と尋ねたら、『うちは女性宮家も女性天皇も容認ですから、むしろ同じ立場です』と言っていました。読売は今回、立法府の議論が自社の考えとはどんどん別の方向へ進んでいくのを見て、腹に据えかねたのではないでしょうか」

 あらためて読売に問うと、

「現行の皇室典範の規定により未婚の女性皇族が皇室を離れるなどして、皇室制度そのものが行き詰まる前に、具体的な方策を提示して、国民的議論を喚起することが重要だと考えました。今回の提言は、現在の皇位継承順位の変更を前提としたものではありません。将来にわたり皇統を維持できるようにすることを最優先に考える立場からのものです」(読売新聞グループ本社広報部)

 果たして国会は「国民の総意」に基づく結論を導き出せるのだろうか。

 前編【〈女系天皇などありえない〉 自民議員から猛反発 読売新聞のキャンペーンが保守派に与えた衝撃】では、5月15日の読売新聞朝刊が、〈皇統の存続を最優先に〉〈女性宮家の創設を〉などの文言と共に、皇位継承を巡る踏み込んだ呼びかけをしたことについて、保守派の反発と併せて報じている。

週刊新潮 2025年5月29日号掲載

特集「ナベツネなき読売新聞 『女系天皇』提言の波紋」より

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