「小室さんのお子さんが天皇になることを国民が認めるのか」 読売新聞の「女系天皇“容認”論」に専門家が苦言 

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「読売の提言は、これまでの議論を無視している」

 実際に協議に参加している日本維新の会の藤田文武幹事長は、

「私たちは旧宮家の男系男子の復帰案を高く評価しており、それを実現すべきだという立場です。また結婚後の女性皇族の家族についても、私たちを含む8政党・会派には『一般人のまま』というコンセンサスがあり、立憲民主の中にも考えの近い議員がいる。読売の提言は、これまで積み上げてきた議論の経過を無視しており、到底受け入れられません」

 としながら、やはり次のように指摘するのだ。

「もう議論は出尽くしており、今国会での取りまとめも十分可能だとは思いますが、強いて言えば協議の進展を滞らせているのは立憲民主党だと思います。野田代表は読売の提言を評価するような発言をしていましたが、女系天皇を実現させる案をどこまで出すかといった議論自体が論外です」

 その立憲民主党から協議に出席している馬淵澄夫元国交相に聞くと、

「現在は協議の内容を逐一、党内に持ち帰って報告したり方向性を決めたりという作業はしていません。というのも、われわれは論点整理で、結婚後の女性皇族の家族について『皇族とする』『しない』の2案を併記しています。ところが与野党協議では、各案についてどんな不都合や憲法上の疑義があるのかなどの議論がなされておらず、特に前者についてはほとんど俎上にも載っていない。われわれが遅らせているわけではなく、そもそも十分な議論ができていないのです。これでは党内に伝えようがありません」

「世論と保守派の議員らとの間に乖離が」

 こうした立法府の取り組みとは別に、実際の国民の意識に目を向けてみると、2024年4月に行われた共同通信の世論調査では、女性天皇を認めることに賛成と答えた人が実に90%に上り、女系天皇についても84%。さかのぼれば、令和の御代替わり前後の19年の調査では、各社の調査で「女性天皇に賛成」が軒並み7割に達していた。例えば同年5月のNNN・読売新聞調査では女性天皇に賛成79%、女系天皇は62%だったから、こうした声は年々高まっているといえよう。

 読売OBで、1986~89年に宮内庁を担当したジャーナリストの斉藤勝久氏は、

「世論と保守派の議員らとの間に大きな乖離があるのは明らかです。にもかかわらず、男系男子による継承維持のため、国民の理解が得られないまま旧宮家の養子案を進めようとしている状況に、読売は危機感をもって異を唱えたわけです。自民党などが女系天皇に反対する中で、社として腹をくくったのでしょう」

 そう評価しながら、

「仮に女性・女系天皇が認められた場合、改正された皇室典範はいつから施行されるのか。提言はその点には触れていませんが、将来、悠仁さまが即位された後に施行され、お子さまがいらっしゃらなければ、次の継承者は愛子さまではなく佳子さまになってしまう。ご自身も全く希望されていないでしょうし、デリケートな問題が生じるので改正・施行は急ぐべきです」(同)

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