「楽しくて気付いたら子どもが7人に」 熊本市・「やまなみこども園」が起こした四つの奇跡 一方、「補助金獲得のための保育園」が乱立する問題も

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良質な保育をしている園が定員割れに

 高見氏は話す。

「都内では、アピール上手な園ばかりに子どもが集まり、真摯に子どもに向き合って良質な保育をしている園が定員割れを起こしている状況です。国は『異次元の少子化対策』として児童手当の拡充や誰でも通園制度などと言っていますが、それが本当に良質な保育を保障することにつながるのかどうかは疑問です」

 国が掲げる「こどもまんなか社会」の中身は、真ん中が空洞のまま、人気取りのための政策だけが推し進められている気がしてならない。本当にそこに子どもはいるのだろうかと改めて問い直すことが必要なのではないか。

石井光太(いしいこうた)
作家。1977年、東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。2005年『物乞う仏陀』でデビュー。『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』など著書多数。21年に『こどもホスピスの奇跡』で第2回新潮ドキュメント賞を受賞した。

週刊新潮 2025年4月24日号掲載

特別読物「『もう一人産みたくなる』熊本市やまなみこども園から保育業界の大問題を考える」より

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