「朝はコーヒー1杯」は危ない? 寝起きがだるい原因は低血糖? 認知機能にも影響する「低血糖」を徹底解説
まずは「早食い」をやめる
そこで、かくれ低血糖を見逃さないために着目したいのが中性脂肪の値です。
体はエネルギーが不足していると、中性脂肪を取り崩してそこからエネルギーを補給します。そのため、しっかり食べているはずなのに中性脂肪の値が低い人は要注意なのです。具体的には、中性脂肪の値が50mg/dlを下回っている場合は低血糖を疑ってみる必要があるでしょう。「私は50mg/dl以下だけれど元気だから大丈夫!」という人は、カフェインなどによってどうにか元気を保っている可能性があるので、気を付けてください。
では、低血糖が判明した場合、どう対処すればよいのでしょうか。先ほど私は、低血糖は高血糖の反動でもあると記しました。従って、血糖値スパイクを防ぎ、血糖値を適切にコントロールすることが低血糖の防止につながります。
具体的な対策としては、まず「早食い」をやめることです。私が総合病院で栄養指導をしていた頃、「血糖値が乱れている人で遅食い」というケースをまず見たことがありませんでした。糖尿病などの患者さんは、皆さん早食いなのです。早食いは血糖値を急激に上げますので、血糖値スパイクを招きやすい。ですから、とにかくよくかんでゆっくり食べてください。一口30回が目安です。よくかむことで、少量でも満腹感が得られて過食防止につながりますし、そしゃくによって幸せホルモンであるセロトニンの分泌が促されたり、解毒作用のある唾液もよく出たりするので、「遅食い」には多くのメリットがあるといえます。
消化酵素が使われる
糖質過多の食生活も改善する必要があります。特に、外食が多い人はご飯(白米)に要注意です。ご飯のお代わりが無料のお店はあっても、お肉のお代わりがタダというお店がないように、そもそも外食産業はコスパの面から、効率よくおなかいっぱいになれる糖質を、お客さんにたくさん食べてもらいたがります。しかも、実は外で食べるご飯と家で炊いて食べるご飯は「別物」なのです。
家で食べる時はお茶碗1杯が限界なのに、回転ずしに行ったら何皿も食べられるという経験をしたことはありませんか? その原因として、外食では大量のお米を均一な状態で炊き上げるために、消化酵素が使われるケースが多いことが挙げられます。普通であればご飯に含まれるでん粉は体内に入ってからブドウ糖に分解されるのに対し、消化酵素によって食べる前からブドウ糖に分解されているため、食べた時の吸収が速く、どんどん食べてしまう。しかも酢飯はご飯自体が甘いので、一層、食後高血糖になりやすいのです。
このように、外食のご飯は注意が必要なので、例えば夕食をスーパーなどで買って帰り、家で食べる際も、購入するのは総菜だけにし、ご飯は家で炊いたものをいただくといった工夫をしてみてください。
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