「朝はコーヒー1杯」は危ない? 寝起きがだるい原因は低血糖? 認知機能にも影響する「低血糖」を徹底解説

ドクター新潮 ライフ

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「ベジタブルファーストが有効」とは言い切れない

 また、食物繊維を含んだ野菜を先に食べるベジタブルファーストが、血糖値コントロールには有効だと言われることがあります。しかし、必ずしもそうとは言い切れません。

 なぜなら、野菜を生でそのまま食べる人は少なく、サラダであればほとんどの人がドレッシングをかけるからです。そこに入っている甘味料が血糖値を上げてしまう。さらに、例えばレタスには食物繊維が豊富とされます。ですが十分な量の食物繊維をレタスで摂取するとしたら、葉を何十枚も食べなければならず、サラダに含まれる数枚程度ではあまり意味がないのです。ですので、私は「タンパク質ファースト」を推奨しています。タンパク質はほとんど血糖値を上げないからです。

 無論、カフェインによる“ドーピング”もよくありませんので、コーヒーを一日に何杯も飲むという人は、徐々にで構いませんのでカフェイン摂取量を減らしていく必要があります。ちなみに私は、家ではルイボスティーを愛飲しています。

テレビ番組で取り上げにくい事情

 これまでお話をしてきた低血糖の問題は、テレビ番組ではあまり紹介されないようです。低血糖対策とは、非常に大雑把に言えば、「血糖値を適切にコントロールする=甘いものやおいしいものの摂取量を抑える」ことなので、食品メーカーなどのスポンサーに配慮しなければならないテレビ番組では取り上げにくいという事情があるのかもしれません。

 いずれにしても、低血糖を改善すれば原因不明の不調が治る可能性があるのですから、「健康診断はA判定なのに調子が悪い」といった人は、これを機に、もしかしたら自分は低血糖かもしれないと一度疑ってみてください。低血糖を改善できれば、年齢に関係なく誰でも「朝はコーヒー1杯」の生活から抜け出せるはずです。

岡城美雪(おかじょうみゆき)
管理栄養士。1992年生まれ。総合病院で栄養指導をするなど、これまで延べ2000人に食事のアドバイスをしてきた。自身も低血糖だったが、食生活を見直して体調が改善した経験を持つ。昨年9月に『「なんだかつらい……」がなくなる かくれ低血糖との付き合い方』(あさ出版)を出版。他に『これだけ! 脱うつごはん』(Gakken)の著書がある。

週刊新潮 2025年4月10日号掲載

特別読物「寝起きがダルい、認知機能低下も…『危ない低血糖』との付き合い方」より

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