「朝はコーヒー1杯」は危ない? 寝起きがだるい原因は低血糖? 認知機能にも影響する「低血糖」を徹底解説
だるい、眠い、しんどい。なぜ自分はこんなに根性のないダメ人間なのだろうか……。
そう落ち込む前に、「真の原因」を追究してみるのが先かもしれない。もしかしたら、それは「血糖」のなせる業の可能性があるのだ。認知機能の低下も招く「低血糖 」を解説。【岡城美雪/管理栄養士】
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元気が有り余っている子どもじゃないんだから、 朝からそう食べられるものではない。コーヒーを1杯飲んで、頭をシャキッとさせてから出かけるのが洗練された大人のスタイル。
一見、もっともらしく聞こえるかもしれませんが、大人になったら朝ご飯は食べられなくなると、一体誰が決めたのでしょうか?
もし、「朝はコーヒー1杯」が常態化しているとすれば、その人の体はむしばまれている可能性があります。しかも、不調を感じて病院に行っても原因がよく分からず、そのまま放置される危険さえある。つまり、体調不良を生涯抱え続けるかもしれないのです。「かくれ低血糖」のせいで――。
〈こう啓発するのは、管理栄養士の岡城(おかじょう)美雪氏だ。
総合病院で糖尿病の患者などの栄養指導にあたってきた岡城氏が、これまで食事に関するアドバイスを行った人数は延べ2000人超。そうした経験から、低血糖の人が想像以上に多い現状や、低血糖のため日々の生活に支障をきたしている人の姿を目の当たりにしてきた。
高血圧に、高脂血症に、高コレステロール血症。「高」であることが健康を損なうというイメージが強いが、「低」もまた問題なのだという。
その名も『「なんだかつらい……」がなくなる かくれ低血糖との付き合い方』の著書がある岡城氏が続ける。〉
健康診断で「A判定」でも不調が……
寝起きがだるい、寝違えることが多い、食後に猛烈に眠くなる、はたまた甘いものを食べ始めると止まらない、漠然とした不安に駆られる、イライラする……。
こうした不調は、耐えられないほどの痛みや、すぐに病院に駆け込まなければならないほどの症状ではないため、「疲れがたまっているのかな」などと、流してしまいやすい傾向にあります。健康診断でも、とりたてて数値に異常が見られず、「A判定」とされることもあるため、自分の精神がたるんでいるせいで元気がないのだと勘違いしてしまいがちです。
私自身が、かつてはそうでした。健康診断ではどこにも異常がないのに、どうにもならない眠気に襲われたり、甘いお菓子を一気に一袋食べてしまったりしていたのです。私はなんて自制心がない人間なのだろうとか、もともと体が弱いのかもしれないなどと考えて落ち込んでいました。
しかし、これらの症状は「意志」とは関係なく、全て低血糖によっていや応なく現れる症状の可能性があるのです。なぜ、低血糖だとこのような症状が起きるのでしょうか。
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