クマだけじゃない「イノシシ被害」の壮絶な実態…作物が食い尽くされて「農業を断念」、自分たちが食べる米が確保できない農家も

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農業を断念する人も

 人里に降りてきたクマを駆除した自治体に対し、「人でなし」「可哀想じゃないか!」といった抗議が相次いでいるが、クマはれっきとした狂暴野生動物である。クマと出会ったらヘタしたら殺される。抗議をした者は、クマの命の方が人間の命よりも尊いと考えているか、パディントンや、くまモンのようにかわいらしく、温厚で人間と心が通じるとでも考えているのか。そんなワケがない。クマは恐ろしい。一度秋田や島根や新潟でクマに近付いた経験をしたら、もはや抗議をしたことを恥じることであろう。

 そして、もう一つの代表的害獣がイノシシである。農家は本当にイノシシの害に困っている。せっかく育てた農作物を根こそぎ食いまくってしまったり、ビニールハウスを倒したりもする。突進されてケガをする人もいるし、車の前を突然横断し、車に傷をつけたりもする。イノシシ被害の実態について、佐賀県伊万里市の農家・吉田金吾さんはこう語る。

「あまりにもヒドいイノシシの被害で、農業を断念する人もでています。近くの集落では今年、自分で食べる米の確保もできなかった方もいるほどです」

 ここ7年間の伊万里市(人口約5.4万人)における捕獲頭数は以下の通り。罠や猟銃によるものだ。

2017年:3028
2018年:3244
2019年:3219
2020年:4756
2021年:3803
2022年:3721
2023年:2439 ※2023年は5ヶ月の数値。

 今年は半年以下で2439頭と、この7年で最高ペースになっているが、捕獲されていない個体も数多くいることだろう。吉田さんは懸念を示すとともに、現在行っている対策について語る。

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