クマだけじゃない「イノシシ被害」の壮絶な実態…作物が食い尽くされて「農業を断念」、自分たちが食べる米が確保できない農家も

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せめてもの供養

 前出・吉田さんはイノシシに困り、怒りを覚えてはいるものの、いざ捕まえたらこのように人間が食べるのがせめてもの供養だと思っている。こうした「捕獲」→「処理」→「おすそ分け」→「料理をして食べる」というサイクルを回さねば、害獣はいなくならない。

 我々のような地方民は害獣駆除に対して抗議をしようという発想にはならない。あくまでも都会者の無知であるが故の無駄な感情論はやめてくれ。なお、今回イノシシ肉を渡したWさんはスパイスでリブと肉を焼いた。残りはイノシシ汁(豚汁の代わりにイノシシ)に。Hさんはカレーに。「鮨処 つく田」の松尾雄二さんは、『檀流クッキング』に登場する「バーソー(肉味噌)」を作り、ラーメンの具にした。私もカレーに。大きめの四角に切り、圧力鍋で柔らかくすると、豚肉と牛肉の間のような味わいになる。最初はライスとともに、その後はパスタにもかけ、最後は大鍋をキレイにするためにカレーそばにする。絶品ですぞ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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