フランス暴動から1カ月… 少年遺族より「射殺した警官」支援に寄付が集まる国民感情

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 6月27日にフランス・パリの西郊外ナンテールで取り締まり中の警察官による発砲事件が起こりました。無免許でレンタカーを運転していた17歳のナエル・モルザクさんが警察官の制止要求に従わずに車を発進し、胸を撃たれて死亡したのです。【ヴェイサードゆうこ/在仏ジャーナリスト】

 事件の起きたナンテールはパリに隣接したオードセーヌ県の県庁所在地です。日本人も滞在許可証や免許などの申請に訪れ、近くに大学もあります。

 これを受けて激しい暴動が起こったパブロ・ピカソ地区は、県庁から車で5分ほどのエリアで、昨年の12月にも25歳の男性が銃撃され死亡した事件や、麻薬取引の現場になるなど度々ニュースになっていました。

 事件の動画がネット上で拡散されたことで警察への怒りの声が上がり、フランス各地で5夜連続デモや暴動が起きました。市役所や学校等の公共施設、民間の銀行や店舗などが破壊、略奪、放火等の被害に遭い、7月5日までに多くの若者を含む3,500人以上が拘束されました。

 既に暴動は落ち着いていますが、様々な論争が続いています。

 そのひとつが、右派のジャーナリスト、ジャン・メシハ氏が立ち上げた、発砲した警察官の家族を支援するための寄付金の呼びかけです。GoFundMeというクラウドファンディングサイトで6月末にプロジェクトが立ち上げられ、わずか5日で160万ユーロ(約2億5,000万円)超の寄付が集まったのです。

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