「スマホ依存」で子供の眼球が変形? 10人に1人が失明予備軍との試算も スマホ失明から身を守る方法

ドクター新潮 ライフ

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スマホに触れていない時間に進行するゲーム

 近視という病気も、この行動経済学によって理解できる部分が多くあります。なぜなら、近視も今日の行いが明日の症状に直結するようなものではなく、症状が出るのにも、改善されるのにも非常に長い時間がかかる病気だからです。合理的に見ればスマホ操作などの「近業」をすぐにでも減らした方がよいのに、今現在の「楽しみたい」という気分に打ち勝つことができず、だらだらと続けてしまう。

 では、このような問題を防ぐためにはどうすればよいか。行動経済学の分野では、こういうときに「報酬」をうまくコントロールして目標を達成させる方法などが指摘されます。

スマホの画面をテレビに映して見る

 例えば、欧米ではスマホに触れていない時間にゲームが進行するというようなアプリが増えているんです。スマホに触れていない間に奇麗な魚が育つとか、木が育って森になるとかというゲームですね。

 それからコミットメント効果を利用するのも有効です。これは、何かを決めたら人に宣言して簡単にやめられない状況を作ったり、目標を守れなかった場合に自分にペナルティーを科したり、というものです。

 ただ、このような手法は小さいお子さんにはまだ難しいかもしれません。かといってスマホやタブレットを無理やり取り上げてしまうのも今の世の中では現実的ではありません。ならば逆転の発想で、「スマホを近くで見せない」のではなく「見られない」ようにするのはどうでしょう。

 例えば、スマホやタブレットの設定を変更して文字のサイズを大きくしたり、リンク機能を使ってスマホの画面をテレビ画面に映したりするのです。ディスプレイもサイズが小さければ、自然と目を近づけて見入ってしまいますが、画面そのものが大きくなれば画面から離れざるを得なくなる。テレビに映して使うようにすれば親が使用時間を把握しやすくなるという利点も生まれます。

 それから、古典的ですが「本は明るい部屋で読みましょう」という標語も有効です。明るさというのは近視対策にとっては非常に重要だからです。

 さらに言えば、単に明るいだけでなく、屋外に出るのがベスト。ある研究では、週に14時間の戸外活動で近視になりにくくなるというデータもあります。学校の行き帰りなどで平日に1時間、休みの日にお出かけなどで5時間くらい外に出る時間を作れば週に14時間の戸外活動も確保できそうです。

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