「スマホ依存」で子供の眼球が変形? 10人に1人が失明予備軍との試算も スマホ失明から身を守る方法

ドクター新潮 ライフ

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近視は遺伝のようなものと思われていたが…

 では、この恐ろしい失明はどのように引き起こされるのでしょうか。

 実は、始まりはなじみのある「近視」なのです。そして、一般的な「近視」と変わりがないということこそが、日本と世界の「スマホ失明」対策に差を生じさせている原因でもあるのです。

 というのも、これまで近視というのは東アジアに多く見られる、ある種、遺伝のようなものだと思われてきました。昔のアメリカの映画や漫画に、ビン底眼鏡をかけた日本人が描かれているのを目にしたことがある人も多いと思います。近視患者が昔から多い日本などでは若くして眼鏡をかけている人は珍しくありませんが、近視患者があまりいない欧米人の目にはそれが珍しく映った。眼鏡をかけている、つまり近視であるというのが一つのトレードマークとして認識されていたわけです。

近視に対する鈍感さ

 ところが、スマホなどの普及に伴って、アメリカやヨーロッパなどいわゆる白人が多いところでも近視患者が増えてきた。要するに遺伝だけだと思われてきた近視が、環境によっても増加することが分かったのです。しかも、スマホ時代の近視は従来と異なり、医学的失明につながるような重い病気も引き起こすことがある。この状況に驚いた欧米の国々は危機感をもって警鐘を鳴らし、実効的な対策も模索してきたのです。

 日本でも、やはり近視患者は増加していて、特に“巣ごもり期間”が長かったコロナ禍の3年間は非常に速いスピードで近視患者が増えていきました。私の感覚では、今後10年かかって増えたであろう近視人口にたった3年で達してしまった。それくらい近視で受診される患者数は増加しているという実感です。これは明らかに「遺伝」の増え方ではありません。

 ただ、日本の場合は昔から近視が珍しくなかったばかりか、ともすれば「近視」に“優等生”や“努力家”といったプラスのイメージすら付与されている。結果、家庭内でも社会全体でも近視に対する鈍感さのようなものができてしまい、いざ「近視が増えている」とか「近視は危ない」と言われても実感が湧かなくなってしまったのです。

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