妻しか女性を知らなかったけれど…不倫してみたら「沼しかなかった」 小心者の40歳夫がメンタルを病んだ原因

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 結婚紹介サービスの「オーネット」が30歳~59歳の既婚男女計385名を対象に実施した調査によると、結婚して「良かった」と答えた割合は男性で80.6%、女性79.9%だという(2017年の調査)。裏をかえせば、男女ともにおよそ2割は結婚生活に思うところがあるようだ。

 男女問題を30年近く取材し『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏も、インタビュー時に、

「結婚っていったい、何なんでしょうね」

 という言葉をよく耳にするという。とくに不倫したことがある、もしくは妻に不倫された男性が必ずといっていいほど口にするといい、その裏には「好きな気持ちは誰にも止められないという諦め」あるいは「自分だけ不当な思いをしている 」など、さまざまな感情が去来しているのだろうと考えている。

 今回、亀山氏が取材した男性も、自身の不倫体験の末に結婚の意味を見失いつつある。ただしよくよく話を聞けば、心の内にあるのは「諦め」や「不満」ではなく、妻と自分を比べた結果の自信喪失のようで……。

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 高田雅斗さん(40歳・仮名=以下同)が結婚したのは28歳のとき。妻の佳恵さんは7歳年上だった。

「実は僕は恋愛経験がまったくなくて、妻が初めての女性なんです。知り合ったのは26歳のころで、彼女からの猛烈なアプローチでつきあうようになりました」

 恥ずかしそうに笑いながら、雅斗さんはそう言った。姉と妹にはさまれた長男で、子どものころから女性のパワーに気圧されながら育った。中学、高校は男子校で剣道三昧の日々だった。

「うちは母が肉体労働、父が事務員という家庭。母は心優しい人ですが、ぶっきらぼうで言葉も悪くて、父はいつも小さくなって生活していましたね。僕も同じです。女性は怖いと思いながら成長した。大学は理工学部だったので、やはり女性が少なくて。でもラテン音楽にはまってサークルに入っていたので、そこでようやく女性と少し口をきくことができるようになりました」

 パーカッションを担当し、夏休みにはブラジルへ行って本場の音楽にも触れた。ラテン音楽にかかわる仕事をしたいと思ったが、どうしても見つからず、卒業後は貿易関係の会社に就職した。

「ポルトガル語やスペイン語も勉強して片言ながら話せるようになり、仕事でスペイン出張も果たしました。でも恋愛はなかなかできなかった。日本にいるより外国にいたほうが女性とも話せるんですが、仕事で行っていることもあって恋愛には至りませんでしたね」

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