「堺・父弟殺人」で無期懲役判決 実の父親に「インスリン大量投与」、弟は「練炭自殺偽装」で殺害した女の闇【前編】

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 おぞましい事件に、ひとまず一つのピリオドが打たれた。2018年に大阪府堺市で、父親と弟を殺害したとして、殺人罪などの罪に問われていた無職、足立朱美被告(48)の裁判員裁判が11月29日、大阪地裁で開かれたのだ。初公判以来黙秘を続ける朱美被告に言い渡された判決は、無期懲役――。今なお多くの謎が残るこの事件が果たしてどんなものだったのか。そして被告が逮捕前につづっていた日記の中身とは――。「デイリー新潮」に2018年当時掲載された記事を、改めて再掲載。まずは前編をお届けする。※記事中の年齢・肩書等は、当時のままです。

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 2018年3月、大阪・堺市の住宅で建設会社社長の足立聖光(まさみつ)さん(40)が練炭を燃やしたトイレで死亡しているのが見つかった。紆余曲折を経た6月20日、その時に現場の住宅にいた姉の足立朱美容疑者を大阪府警は逮捕。「練炭自殺を装って弟を殺害した」という殺人容疑である。

 ややこしい事件なので府警担当記者に解説を仰ぐと、

「府警は当初、自殺で処理しようとし、解剖も行っていなかったんです。でも、聖光さんの奥さんと彼の会社の番頭が“朱美がアヤシイ”と強く主張したので、死因・身元調査法に基づいて行われる『新法解剖』を試みるなど、本格的に捜査が始まりました」

 だからといってその当時、記者が記事を書くことはなかった。「死因は心筋梗塞」として荼毘に付されていた。

 しかし、捜査の過程で、以下のようなことが分かってきたのである。

「現場で犯行に及ぶことができたのは朱美だけである。弟が残した遺書の文面の言い回しが怪しい。弟の遺体から睡眠薬が検出されたが、その成分は姉が処方されていたものと一致した。遺体が見つかったトイレはボンドで目張りされていたが、別室からボンドのチューブが見つかった。弟は近々予定されている家族旅行を楽しみにしていた……そういった状況証拠から朱美が被疑者とされたのです」(同)

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