「堺・父弟殺人」で無期懲役判決 実の父親に「インスリン大量投与」、弟は「練炭自殺偽装」で殺害した女の闇【前編】

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聖光さんの“遺書”

 当局は押収したノートパソコンの中から前述した「聖光さんによる遺書」のデータを発見する。ある捜査関係者によれば、

「A4に1枚、『ワード』で書かれていました。中身はざっと……父親にインスリンを打ったのはオレだ、がんで苦しむより脳死の方が楽だと思った。会社を朱美が継いでも立ち行かないのは明らかだった。いつか自分は死ぬつもりだった。もうオレは限界だ。妻と子供をよろしく。姉を頼れば問題ない……。そんな内容で最後に『聖光』の署名があります。捜査員からこの遺書を見せられた聖光さんの妻は、“夫は子供をこんなふうには呼ばない。パソコンを使って手紙なんて書いたことがない。偽物に違いない”と主張したのです」

 当局の言うように、これが朱美容疑者の手によって偽造されたものだとしたら、会社が軌道に乗らないことを気にし、その状況を父親には悟られたくない、といった心のうちが見えなくもない。

 実際、こんな指摘をする足立家の関係者もいる。

「朱美が父親から受け継いだ会社はそんなに儲かってはなかったね。2016年度の決算において売上高は9千万円で、これは14年度と比べて半減。逆に、6年前に独立した聖光の会社は昨年5月期の決算で売上高7億円をうかがう状況にあった。この数字は14年度の7倍強。従業員は8人ですから儲かっているのは間違いない。聖光は“姉には子供っぽいところがある”って言うてた。思うようにいかん時は父親に文句言うみたい。“お金のことが心配や”とも言うてた。“経営面でずさんなところがあってあかんねん”と。そういうふうに聖光が口出しをしてたから、朱美が不満に思ってたと想像しますけど」

 後編では、編集部が独自に入手した、逮捕前に朱美被告がつづった「朱美日記」を紹介。いよいよ事件の核心に迫る。

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デイリー新潮編集部

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