カスハラの7割以上が男性、年代は中高年が大半 コロナ禍で急増した原因は?

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土下座動画

 企業のカスハラ被害を大きくしているものがある。それが「スマホ」と「SNS」の存在だ。

 2013年、衣料品チェーンストアの「ファッションセンターしまむら」で、不良品に激高した客が店員に土下座させ、その様子を撮影。自身のTwitterアカウントにその画像を上げるとまたたく間に拡散され、大きな物議を醸した。客はのちに強要の疑いで逮捕された。

 14年には、コンビニ「ファミリーマート」でも、迷惑行為を注意された客が店員に土下座させ、その様子を撮影し、動画がネット上で拡散する事件が発生。さらに客は、そのおわびとしてたばこ6カートン(2万6700円相当)を脅し取るなど恐喝行為に及び、のちに逮捕されている。

 が、拡散されるのが「店員の土下座」ではなく、自社の不良品そのものだと、企業側のダメージはより深刻になる。

 14年、即席めんの「ペヤング」にゴキブリが混入していたとして、ある消費者がTwitterに画像を投稿。これにより1日約40万食を生産していたラインが長期間停止に追いやられた。

「10年代半ばごろから、クレームがお客様相談室や店舗に直接訴えられるのではなく、SNSで画像や動画を拡散し、社会全体に共有されるケースが目立つように。クレームの様相が変わってきました」(池内氏)

企業にとって悩みのタネに

 こうしたSNS拡散型のトラブルは、昨今も頻繁に起きている。

 今年4月、Amazonの配達員が、指定時間に2度続けて不在だった受取人に激怒。不在票に「時間指定しとるなら家におれや」などと書き込んだ。受取人はTwitterにその画像を投稿。これには1.6万件の「いいね」が付き、9千件近くリツイートされた。同件は配達員の間でも議論となり、「この言い方はない」、「再配達を繰り返す方が悪い」と意見が二分。Amazonヘルプの公式Twitterが受取人に謝罪する事態となった。

 SNSでの拡散は、本来知らなくてもいい人や、直接その件に関係のない人たちの耳や目に触れることになる。そうなれば社会的影響は避けられず、企業にとっては大きな悩みのタネになっている。

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